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【市況】米国株式市場見通し:原油価格及び経済指標に注目


1日に発表された中国の7月製造業購買担当者景気指数(PMI)が前月から落ち込んだことで、中国株式相場が下落した流れを受け、週初から売りが先行。6月個人支出が前月比で大幅下落となったほか、7月ISM製造業景況指数も予想を下振れたことで景気後退懸念が拡大し、その後も上値の重い展開となった。7月ADP雇用統計が予想を大きく下振れたほか、6月の貿易赤字が拡大したことで早期利上げ観測が後退し、週半ばにかけて上昇する場面もあったが、ロックハート・アトランタ連銀総裁が9月の利上げを示唆する発言を行ったことをきっかけに、再び下落に転じた。ウォルト・ディズニー(DIS)などメディア大手に冴えない決算が相次いだことが嫌気されたほか、堅調な雇用統計を受けた年内の利上げ観測拡大で、週末にかけても下げ幅を拡大する展開となった。結局、週を通じて主要株価は下落した。

短文投稿サイトのツイッターは、ユーザー数の伸び悩みが引き続き嫌気され下落。携帯端末のアップルは中国のスマートフォン市場でシェアが低下したとの調査を受け下落。エンターテイメントのウォルト・ディズニーは、売上高が予想を下振れたほか、ケーブルテレビ事業の利益見通しを引き下げたことで大幅下落。メディアのバイアコムは、四半期決算で売上高が予想を下振れたことで下落。電気自動車のテスラ・モーターズは、通期の出荷台数見通しを引き下げたことで軟調推移。一方で旅行予約サイトのプライスラインは、決算内容が好感され大幅上昇。動画ストリーミングのネットフリックスは、日本向けサービスの開始日発表が好感され、堅調推移。

雇用統計が概ね予想通りの堅調な結果となり、雇用改善が示されたことで年内利上げの可能性が高まったと見る向きが多い。しかし、雇用統計以外の経済指標は強弱入り混じる内容となっているほか、原油価格は下げ止まっておらず、インフレ見通しの低下が懸念される。景気対策が期待されつつも先行きが不透明な中国株式相場も不安材料だ。当面原油価格の動向や中国市場、そして雇用以外の経済指標が注目される展開となるだろう。また9月7日のレイバー・デーの祝日頃まで夏季休暇に入る投資家や市場関係者も多く閑散取引となるが、休暇を前後して一旦ポジションを手仕舞う動きが、相場全体の上値を抑える可能性があることに注意したい。

今週は、小売を中心に企業決算の発表が控えている。百貨店のメーシーズ(12日)、ノードストローム(13日)、コールズ(13日)、JCペニー(14日)、ネットワーク機器のシスコシステムズ(12日)、メディアのニューズ・コーポレーション(12日)、半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(13日)などが予定されている。先日発表された4-6月期GDP速報値では個人消費が堅調であったことから、小売各社の決算に対する期待は高い。また小売各社が展開している新学期セール「バック・トゥ・スクール」の足元の動向にも注目が集まるだろう。ニューズ・コーポレーションは、先週決算を発表したニューヨークタイムズが広告収入の減少を発表したこともあり、軟調な決算となることが予想される。

経済指標では、6月卸売在庫(11日)、7月小売売上高(13日)、7月生産者物価指数(PPI)(14日)、7月鉱工業生産指数(14日)などの発表が予定されている。6月小売売上高が予想を下振れたことで7月は反動増が見込まれる一方、生産者物価指数(PPI)で下落が続く原油相場の影響を確かめたい。中国の7月貿易収支(8日)にも注目が集まる。

ナスダック・バイオテクノロジー株指数の年初来の上昇率は約20%と、ナスダック総合指数の上昇率である約6%を大幅に上回っている。しかしながら、先月20日の高値から7%強の下落となっており、その上昇に歯止めの兆しが見え始めている。7月24日に、バイオジェンが主力製品である多発性硬化症治療薬「テクフィデラ」の売上鈍化を理由に通期の業績見通しを下方修正したことで同社の株価が22%下落したことや、8月6日にアラガンが後発医薬品の価格設定に関する問題で司法省から召喚状を受けたことが響いた。両社のつまずきをきっかけに、成長期待が高く株価評価も高水準のバイオセクター全体に影響が波及する可能性があり、今後の動向に注意が必要だ。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

 提供:フィスコ

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