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【特集】【日本株・物色動向(2)】賃上げ効果が消費関連株の上昇を後押し /有沢正一氏 <夏の相場観>

岩井コスモ証券投資調査部・副部長 有沢正一氏

 国内年金など長期資金の流入が需給を支えることや、本邦企業の業績が好調なこと、さらには企業が配当など株主還元姿勢を強めていることなど、株式市場を取り巻く良好な環境に変わりはないので堅調な推移が続くと思われる。7月後半から本格化してくる第1四半期決算発表を眺めて好調な企業業績に対する自信を深めながら買い安心感が強まっていくだろう。

 米国利上げの9月実施を意識して世界的に株式市場が緊張するような局面があるかもしれないが、海外勢の売りによる押し目は、個人投資家の待機資金を動かすきっかけになるのではないか。年金資金などの買いも見込まれ、長く下値を模索するような展開は考えにくい。

 第1四半期決算発表時に通期見通しを増額修正するような企業はまだ限定的と思われるので、日経平均株価など指数の夏場の上値は限られる。その分、個別のレベルで出遅れ株を循環的に物色する動きが活発になるだろう。銀行をはじめとするリーマンショック前の株価を回復していない業種や主力株に比べて業績の評価が遅れている小型株などに見直しの機運が高まるだろう。

 消費増税に伴う消費者の節約意識の高まりや夏場の天候不順に苦しめられた消費関連株などは、前年同期との比較において業績の好転が目立つものが多いだろう。株価の反応が楽しみになるので早めに仕込みを考えておきたい。賃上げ効果も消費関連株の上昇を後押ししそうだ。
 投資環境の良好さを考えれば、あまり大きな押し目を待つべきではなさそうだ。

<プロフィール>

1981年大阪府立大学経済学部卒業。89年岩井証券入社、株式部、調査部などの勤務を経て、2003年イワイ・リサーチセンターセンター長。2012年5月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員。

編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ)     【夏の相場観】特集 より

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