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【市況】国内株式市場見通し:ギリシャで過剰反応後は業績などで個別物色の流れ


■ギリシャ問題嫌気で急落後は自律反発に

先週の日経平均は下落。ギリシャ政府と欧州連合など債権団との話し合いが不調に終わり、ギリシャの債務不履行への懸念が強まるなか、今年最大の下げ幅により20200円を割り込んで始まった。注目されていたギリシャの国際通貨基金(IMF)への債務の支払いは、30日の期限までに履行できなかった。一先ず、7月5日の国民投票待ちとなるなか、その後は、楽観的な見方などもあってか、週初の大幅な下げに対する自律反発をみせた。

もう一つの注目材料であった米雇用統計は、非農業部門雇用者数が市場予想をやや下回る22.3万人増だった。予想を下回ったが2ヶ月連続で、堅調な水準とされる20万人台を維持。失業率は5.3%に低下し、7年ぶり低水準だった。その他、不安定な値動きが続いている中国・上海市場は、5月に続いて2カ月連続で利下げを実施するものの下げ止まらず、危機感が強まっている。

■ギリシャ国民投票で過剰反応か

今週は5日に行われる財政緊縮策の受け入れの賛否を問うギリシャの国民投票の結果を受けた展開となる。日本時間週明けとなる6日の午前中には結果が判明すると見られている。市場の大方の見方としては、ギリシャの有権者が国民投票で緊縮策に支持票を投じると予想し、ギリシャが最終的にユーロ圏に残留するとみている。予想通りとなればギリシャ不安が和らぐ格好となり、東京市場は強い相場展開が意識されやすい。

しかし、欧州側は結果をみてから協議に応じる姿勢であり、急に事態が好転するわけでもなく、不透明感そのものは消えずに長期的な問題となる可能性がある。そのため、楽観的な流れにもなりづらいところか。

■業績等を手掛かりとした個別物色の流れ

とはいえ、過剰に反応しやすいのが今の日本株市場の特徴でもあり、結果次第では先週の下落部分をあっさり埋め、年初来高値を更新してくる可能性はありそう。その他、国内ではセブン&アイHD<3382>、ファーストリテイリング<9983>など小売企業の決算が続くほか、米企業の決算シーズンに入る。そのため、業績等を手掛かりとした個別物色の流れが強まりそうだ。ファーストリテイリングは先週、外資系による目標株価引き上げが材料視されて最高値を更新した後、6月の既存店売上高が20ヶ月ぶりに2ケタ減となったことが嫌気され、上昇部分を帳消しにしていた。足元の苦戦が織り込まれるなか、決算発表を受けて仕切り直しの流れが強まるかが注目される。また、テーマ性のある銘柄等で好業績が確認されてくるようだと、インバウンド関連といったテーマ全体へ期待感が波及しやすいとみられる。

■イエレン議長講演に関心

経済スケジュールでは、6日に日銀が全国支店長会議を開き、7月の地域経済報告(さくらリポート)を公表するほか、6月の米ISM非製造業景況指数が発表される。7日には5月の米貿易収支、8日に5月の国際収支、景気ウォッチャー調査、米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録が公表される。9日に5月の機械受注、6月の中国消費者物価指数(CPI)が発表され、10日にイエレンFRB議長の講演が予定されている。

米雇用統計で賃金などを含めるとやや弱めだったことから、9月利上げの確率はやや後づれとの見方。また、国際通貨基金(IMF)は賃金や物価上昇の兆しが今より明確になるまで待つべきとし、2016年前半が適切との見解を示している。しかし、FRB内では年内の利上げ開始が必要との見方が大勢であり、イエレン議長の発言が注目されよう。

《TN》

 提供:フィスコ

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