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【市況】【中国株】下値模索から荒い値動きに /土信田雅之氏 <夏の相場観>

楽天証券経済研究所・シニアマーケットアナリスト 土信田雅之氏

 目先の中国上海株市場は下値を探り、値固めの水準を探る展開が見込まれる。9月末までの上海総合指数のレンジは3000~4500と、やや荒い値動きを想定している。同指数は中国経済の減速が警戒される中、景気対策や金融緩和の期待を背景に、わずか半年あまりの期間で2500の水準から5100超と約2倍となり、バブルを指摘する声も多い。

 実際に、中国人民銀行(中銀)は、昨年11月に2年4カ月ぶりとなる利下げを発表して以降、今年の2月、5月、6月と次々に利下げを繰り返している。金融緩和によって融資や設備投資を拡大させて景気を支えるという理屈ではあるが、中国経済の課題が「投資や生産能力の過剰」であるため、金融緩和の効果は限定的になりやすい。

 そのため、AIIB(アジアインフラ開発銀行)の設立など、緩和マネーの行き先を示すことで期待をつなぎとめている格好になっている。また、中国株の下落そのものもリスク要因になり得る。上海総合指数は2007年10月19日の最高値(6124)以降、約半年で半値近くまで下落しており、ピークをつけてからの調整が大きくなった経緯がある。

 また、2007年当時と異なり、現在は中国株市場の環境は大きく変化している。取引の規制緩和が進み、信用取引における融資残高が5月末時点で2兆元(日本円で約40兆円)を超え、前年比で5倍増となった。つまり、レバレッジが効いている分、株価の急落した際の投資家の痛手がずっと大きくなる可能性があり、中国経済への悪影響も想定される。

<プロフィール>

青山学院大学国際政治経済学部卒業。国内証券会社にて営業やマーケティング、商品開発に携わった後、現職。国際テクニカルアナリスト連盟・国際認定テクニカルアナリスト(CFTe)。日本国内の市場はもとより、留学経験のある中国市場の分析にも従事。

編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ)     【夏の相場観】特集 より

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