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【市況】新興市場見通し:中小型株への関心続く、IPOではヘリオスなど4社が新規上場


先週の新興市場は、欧米株安など外部環境への警戒感や日本銀行総裁発言を受けた円高、先物・オプション特別清算指数(メジャーSQ)に絡んだ思惑などで日経平均が荒い値動きとなるなか、主力大型株の手掛けづらさから中小型株への資金シフトが進み堅調に推移した。特にマザーズは、ミクシィ<2121>やサイバーダイン<7779>、バイオ株などの時価総額上位銘柄が上昇し、指数をけん引した。なお、週間の騰落率は、日経平均が-0.3%であったのに対して、マザーズ指数は+2.7%、日経ジャスダック平均は+0.8%だった。マザーズ指数、日経ジャスダック平均ともに年初来高値を更新している。

個別では、ミクシィが週間で2.4%高、サイバーダインが同3.6%高と堅調だった。ジャスダック主力では、新作ゲームの期待感からクルーズ<2138>が同29.3%高となった。バイオ関連は、タカラバイオ<4974>が同6.0%高、オンコセラピー・サイエンス<4564>が同3.1%となったほか、ペプチドリーム<4587>が同18.4%高、そーせいグループ<4565>が同21.0%高、カルナバイオサイエンス<4572>が同29.6%高と大きく上昇した。一部証券会社のバイオ株レポートが買い材料視されたほか、ペプチドリームの株式分割、カルナバイオサイエンスのライセンス契約締結なども関連銘柄の刺激材料となった。サイバーセキュリティ関連では、アズジェント<4288>が新サービス開始で買われたのを皮切りに、週末にはFFRI<3692>がリリース公表を受けて大幅高となり、関連銘柄全般に物色が波及した。その他、ASJ<2351>、メガネスーパー<3318>、ディーエムエス<9782>、テクノホライゾン・HD<6629>などの上昇が目立った。一方、ガーラ<4777>は前週末の半値ほどまで急落した。ITbook<3742>などのマイナンバー関連は週末に持ち直したものの、関連法案の国会審議停滞もあり軟調となった。

今週の新興市場は、ギリシャ支援交渉が大詰めを迎えていることに加え、米連邦公開市場委員会(FOMC)や日本銀行の金融政策決定会合が控えていることから主力大型株で手控えムードが強まることが見込まれ、引き続き個人投資家の物色が中小型株へ向かうことが想定される。相場全体がリスクオフへと大きくシフトした際は短期的な調整に注意が必要となるものの、個人投資家を中心とした資金流入でしっかりとした展開となりそうだ。

前週末には4月上場の直近IPO銘柄であるGunosy<6047>が前期業績の上方修正を発表している。新興ネットベンチャーとして期待された一方、業績不安も根強かったため、好感した買いが集まりそうだ。また、スマートフォンやパソコンから処方薬を買えるようにする規制緩和が検討されていると報じられており、ブイキューブ<3681>などが狙い目か。さらに、後述の新規上場企業からの物色波及も想定され、再生医療などの関連銘柄に注目したい。

IPO関連では、16日にヘリオス<4593>(マザーズ)、スマートバリュー<9417>(ジャスダック)、17日にマーケットエンタープライズ<3135>(マザーズ)、18日にデジタル・インフォメーション・テクノロジー<3916>(ジャスダック)が新規上場する。公開規模80億円超の大型案件であるヘリオスが、足元のバイオ株物色を追い風にどこまで健闘するか注目される。なお、先週はアイリッジ<3917>の新規上場が発表され、7月IPO案件は計4社となっている。

《TM》

 提供:フィスコ

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