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【市況】【植木靖男の相場展望】


「全体市況のカギ握る超値がさ株」

●海外懸念材料の影響は限定的か

 株式市場は2万円大台に乗せ、熱を帯び始めている。ときに1日売買代金は30兆円に近づき、デリバティブ市場も海外勢を中心に活況を呈している。

 株価の大台乗せで、千円単位と万円単位とは大きな違いがある。千円大台は言ってみれば砦である。だが、万円大台は城といってよい。砦は常に取ったり取られたりだが、城となるとそうもいかない。いかに2万円大台は厳しいかである。そう容易に乗り越えることはできない。

 それだけに目下、バックグランドの日本経済が2万円大台に乗るだけの力量があるのかないのか試されているのである。

 5月相場をどうみるか。そもそも5月相場は理由は定かではないが、戦後、きわめて分が悪いとされている。確かに66回の5月相場で上昇は32回、勝率は48.5%とワーストワンの9月に次ぐ。2010年以降でも1勝4敗と8月に並ぶワーストワンだ。

 では、本年の市場環境を粗々眺めてみよう。懸念材料は欧州ギリシャ問題、それに米国景気の先行き不透明感だ。

 ギリシャのデフォルト懸念が浮上して、ドイツDAX指数は高値から4-5%下げている。

 とはいえ、ドイツもギリシャを手放すリスクは大きく、ギリシャもユーロから放れたくないとすれば、結果は明らかだ。ギリシャはロシア、中国などの名を挙げて圧力をかけるが、小手先にすぎないだろう。

 一方、米国景気、確かに先般IMFは米国景気を下方修正したが、それでも先進国の中では突出している。利上げを巡って新興国との間で不協和音が出るが、新興国にはそれだけの体力があり、総じて警戒レベルは低い。

 もう一つは中国景気だ。景気減速がしきりと指摘されるが、国際商品をみると銅、亜鉛などの市況が2月以降反発に転じている。株価は予想外の上昇である。銅のシェアは中国が40%のシェアを持つ。市況高は買い戻しといわれているが、金融緩和と相まって無視できない。過度の不安は乏しいとみたい。

●超値がさ株物色が広がるか

 一方、国内はどうか。日銀は金融経済月報で需給ギャップが0.1%と説明している。であれば、いよいよ供給力を増やすための設備投資の出番である。どうやら、実質賃金の増加も予想され、アベノミクスは着実に達成されつつあるのであろうか。

 肝心なのは株式需給。海外勢は依然買い越しが続くが、個人投資家は相も変わらず現物で売り越しであり、4月に入って1兆円を売り越している。このため、証券会社のMRFは10兆円超積み上がっているようだ。

 だとしたら、押し目を待っていると判断されるが、目下、空振りである。おそらく高い水準で買わされる羽目になろうか。

 こうした市場環境の下、チャートは何を示唆しているのであろうか。

 4月23日より3日間、陰線を引いている。これを一気に包むような陽線が続くかどうかがカギ。本稿が同社の目に触れる頃には答が出ていよう。

 では、物色対象はどうであろうか。日経平均が3月23日の高値時点、4月10日高値時点、そして4月23日高値時点と分けてみると、3月23日時点でファナック <6954> 、トヨタ <7203> 、キーエンス <6861> といった超値がさ株が高値を形成している。

 また、4月10日時点では、ファストリ <9983> 、ホトニクス <6965> 、明治HD <2269> 、キッコマン <2801> 、花王 <4452> が、4月23日時点では化学、商社、工作機械、銀行、証券などが高値を形成している。

 当面はこうした業種の物色が続くとみるのが常識であろうが、問題は先に高値をつけた超値がさ株が再び高値を明確に更新、他の超値がさ株を牽引するのかどうかがカギとなる。

 そうなれば、全体市況はもう一回り大きくなろうし、物色銘柄も広がりを持つことになろう。

2015年4月28日 記

「チャートブック月足集」No.379より転載

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