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【市況】【杉村富生の短期相場観測】


「短期的な視点と長期的な視点を分けよ!」

●本多先生の投資の極意とは…?

 この話(相場哲学・ノウハウ)は筆者が再三再四、伝えていることだが、学者にして相場巧者の世界3賢人(リカルド、ケインズ、本多静六氏)の1人、本多先生の投資の極意は「2割益出し、10割半分手放し法」とされている。

 要するに、株価が2割上昇したら確実に売りなさい、10割上昇(株価倍増)したら半分売って、コストゼロの玉(恩株)を残す、それを大天井を打つまで保有する……という戦術である。

 ちなみに、相場格言は恩株を残せ、その思いやりの心が大幅利食いを可能にする!と教えている。

 しかし、本多先生の戦術は現実には不可能である。だって、そうじゃないか。

 2割上昇→確実に売りを行うのであれば絶対に株価が2倍にはならない(いや、2倍になるまで持っていない)。これをどうやるのか。それが投資の極意なのだが……。

●テクニカル的には“休養”を欲しがる!

 まあ、詳しく述べるには紙面が足りないが、簡単に結論を言うと、信用取引を活用した短期売買と現引き→長期投資の組み合わせである。

 筆者はこれを(1)短期的な視点と長期的な視点を分けよ、(2)短期・順張り(ロスカットルールを適用)と長期・逆張り(基本的に買い下がり作戦を敢行)を併用せよ……と理解している。

 短期的な点では目先は調整だろう。テクニカル的に、相場は“休養”を欲しがっている。日経平均株価の下値のメドは1万8000円絡みの水準になろう。

 ただ、長期的な視点では様相が異なる。日経平均株価は中・長期的には2万0833円(2000年4月12月のITバブル直後の高値)、2万2666円(1996年6月26日のバブル崩壊後の戻り高値)奪回を目指している。

 すなわち、短期的には警戒を要するものの、中・長期的には何らの不安もない。したがって、ここは押し目買いのチャンスと判断する。

●政策対応の効果+企業価値の向上

 その理由の第1は日本の株式市場が出遅れていること(NYダウは金融危機前の高値を3割、ドイツ・DAX指数は同4割上回っているが、日経平均株価はわずか3%、TOPIXは2割下の水準)にある。この修正があろう。

 第2の理由は政策対応の効果、プラス企業価値の向上である。政策対応については改めて述べるまでもない。アベノミクスの推進、異次元の金融緩和の断行である。さらに、GPIF、KKR(国家公務員共済組合連合会)など公的年金のポートフォリオ見直しを指摘できる。

 企業価値はROEが2015年度10.7%、2016年度11.4%と上昇するほか、株主総還元額(配当、プラス自社株買い)は2014年度13.4兆円、2015年度17.1兆円と激増する。加えて、上場企業の加重平均配当利回りは1.7%もある。

●この局面での投資戦術、狙い目は?

 さて、この局面での投資戦術、狙い目は? じっくり安値水準を拾っておきたいのは好業績、出遅れのニチユ三菱 <7105> である。社名が示しているように、ニチユと三菱重工のフォークリフト部門が事業統合し発足、筆頭株主は三菱重工であり、発行株式数の49.1%を保有している。

 短期張りの銘柄では深押しのMラインズ <3901> [JQ]、サイジニア <6031> [東証M]、ネクス <6634> [JQ]、日本プラスト <7291> [東証2]が底打ち→反騰態勢を固めつつある。

 ラオックス <8202> [東証2]も狙える。インバウンド(外国人観光客)関連の本命的存在である。中国系企業であり、中国人観光客激増(2014年は83%増の241万人)のメリットを受けている。企業側は3年以内に復配を目指す、という。

2015年3月4日 記

(「チャートブック日足集」No.1561より転載)
(「株探」編集部)

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