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【市況】為替週間見通し:ドル強含みか、FOMC“忍耐強く”文言削除も


■ドル・円強含み、労働市場改善で6月利上げの期待高まる

先週のドル・円は強含み、119円38銭から一時121円28銭まで上昇した。米地区連銀経済報告で楽観的な見通しが示されたことや2月非農業部門雇用者数が予想を上回ったことが要因。本田内閣官房参与は「120円を上回るドル高・円安は、支持できない」と円安進行を牽制したが、米労働市場の改善によって6月利上げの思惑が広がり、日米金利差の拡大を期待したドル買いは継続した。取引レンジは119円38銭-121円28銭。

■ドル・円強含みか、FOMCでの“忍耐強く”の文言削除への期待高まる

今週のドル・円は強含みか。17-18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、「忍耐強く」という文言が削除される可能性があり、利上げへの期待が高まっていることがドル相場に対する支援材料となりそうだ。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外貨建て資産の投資増額への期待も残されており、ドルは強含みに推移すると予想される。

リスクシナリオとしては、米国議会で通貨安に伴う損害賠償請求を企業に認める法案が審議されていること、環太平洋経済連携協定(TPP)などの通商協定に為替条項を付随する動きが強まっていること、3月期末に向けた本邦機関投資家のリパトリ(外貨建て資産売却・円買い)、ギリシャの債務問題への警戒感、ウクライナ情勢や中東情勢の緊迫化などに警戒することになる。

■米国2月労働市場情勢指数(LMCI)(9日)

米国連邦準備理事会(FRB)が公表する19の雇用関連指標から構成される労働市場情勢指数が1月の4.9から改善していた場合、6月利上げへの期待が高まりそうだ。ただし、悪化していた場合は、6月利上げの思惑は後退し、ドル上昇は抑制される可能性がある。

■米国1月の求人労働異動調査(JOLT)(10日)

イエレンFRB議長が「イエレン・ダッシュボード」で注視している9つの雇用関連指標の内、4つが発表される。イエレンFRB議長は、利上げ開始の条件として、9つの雇用関連指標がリセッション(景気後退)前の水準を回復することを挙げており、直近の数字は、3つしか回復していないことで要注目か。

■米国2月小売売上高(12月)

米国の2月の小売売上高は、前月比+0.4%と予想され、1月の-0.8%からの改善が見込まれている。米国の1-3月期の国内総生産(GDP)の算出に使用される「自動車ディーラー、ガソリンスタンド、建材などを除く売上高」を、1月の修正分と合わせて注目することになる。
悪天候要因などで、ネガティブ・サプライズとなった場合は、米国1-3月期国内総生産(GDP)への警戒感が高まることでドル売り要因となる。

■米国議会のドル高・円安抑制

米国議会では、通貨安に伴う損害賠償請求を企業に認める法案が審議されており、環太平洋経済連携協定(TPP)などの通商協定に為替条項を付随する動きが強まっていることで、要警戒となる。

■安倍政権の円安抑制

安倍政権は、対内的には、4月の統一地方選挙に向けて、原材料輸入価格の高騰に苦しむ地方中小企業への配慮から、円安を牽制するスタンスを強めている。また、対外的には、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が難航していることで、米国製造業、議会への配慮から、ドル高・円安を抑制するスタンスを強めている。

主な発表予定は、9日(月):(日)1月国際収支、(日)2月景気ウォッチャー調査、11日(水):(日)2月国内企業物価指数、(日)1月機械受注、12日(木):(米)1月企業在庫、13日(金):(米)2月生産者物価指数。

予想レンジ:119円00銭-123円00銭

《TN》

 提供:フィスコ

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