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【特集】神戸物産 Research Memo(3):業務スーパー事業を中核に外食・教育・再生エネルギー事業へ参入


■会社概要

(2)事業内容

神戸物産<3038>の事業セグメントは、業務スーパー事業、神戸クック事業、クックイノベンチャー事業、エコ再生エネルギー事業の4つの事業セグメントで区分されている。

○業務スーパー事業
業務スーパー事業は、連結売上高の8割強、営業利益の9割強を占める同社の主力事業となる。同社は「業務スーパー」のFC本部として商品の企画、開発及び調達等を行っている。業務用をメインとした商品開発からスタートし、中間流通マージンを除いた直仕入などによるローコストオペレーションにより「品質の良い商品をベストプライス」で提供する食品スーパーとして2000年以降成長し、キャッシュ&キャリー型店舗では国内シェア約67%と国内トップ企業としてその地位を確立している。主なFC企業としてはG-7ホールディングス<7508>の子会社のG-7スーパーマート、オーシャンシステム<3096>などがある。

FC本部としてのロイヤリティー収入はFC加盟店への商品出荷高の1%としており、FC展開する企業のなかでは低い料率となっている。これは同社の経営方針として、すべての取引会社の収益を拡大していくことが、自社の成長につながるという考えによるもので、ロイヤリティー収入で稼ぐのではなく、食品の製造と卸売事業で収益を拡大していくことを基本戦略として掲げているためだ。

取扱商品はナショナルブランド(以下、NB)商品とプライベートブランド(以下、PB)商品があり、生鮮食料品に関しての仕入れ調達は行っておらず、各FC店舗の裁量によりテナントとして入ってもらうスタイルを取っている。

PB商品に関しては、国内外のグループ会社22工場(うち中国2工場)に加えて、海外の約350の協力工場から調達している。自社グループの調達比率は全体の約10%、残り約90%がメーカーからの仕入れとなっている。また、輸入比率は約20%で、そのうち半分を中国、残り半分を欧米、アセアンなど40ヶ国以上の国から直輸入している。特に数年前からは、欧州やアセアンなど中国以外の国からの輸入を強化している。商品としては各国の代表商品となるようなもので、イタリアならパスタやトマトソース、ベルギーではチョコレートやワッフルといったように、消費者にとって魅力のある商材を発掘し、輸入商品の仕入れを強化していることが特徴となっている。

なお、一次産業として国内では北海道で主にジャガイモや大豆の生産と、約720頭の牛の飼育を約1,500haの広大な敷地で運営している。また、岡山では「吉備高原どり」を養鶏し、処理された鶏を24時間以内に新鮮なまま「業務スーパー」(岡山、広島、関西の一部エリアのみ)に納品しているほか、冷凍加工食品としても出荷している。水産業に関しては宮城県にて地域産業復興支援の一環として、少量ではあるが漁業から水産加工まで行い「業務スーパー」店舗に納品している。また、海外でもエジプトで約2,900haの土地を購入し、砂漠の農地化に取り組んでおり、2014年の春には約1,200トンの小麦の収穫に成功した。

為替変動の影響に関して、同社は仕入れ決済の大半をドル建てで行っている(残りはユーロ、円建て)。年間で30,000百万円以上の仕入高となり、為替変動の影響も大きくなるが、一部為替予約を行っている以外は大半実勢レートでの決済となる。一方で、FC加盟店への価格転嫁のタイミングはタイムラグが生じるため、急激な為替変動が生じた際には、一時的に収益に与える影響も大きくなる傾向にある。

○神戸クック事業
神戸クック事業は、「業務スーパー」で構築された原材料から商品に至るまでのローコスト体制を活かした中食、外食事業となる。現在は主に「神戸クックワールドビュッフェ」(2014年10月現在、14店舗)、出来立ての惣菜を提供する中食と食品物販の融合店の「Green’s K」(同10店舗)、ビュッフェとセルフクックを融合したレストラン「Green’s K 鉄板ビュッフェ」(同8店舗)などで構成されている。また、新業態に関しては毎年1~2業態を企画し、店舗展開を試みている。

○クックイノベンチャー事業
2013年4月にグループ会社化したジー・コミュニケーショングループの事業となる。2014年10月期の売上構成比では約16%、営業利益では約11%を占めており、「業務スーパー」事業に次ぐ比率を占めている。ジー・コミュニケーション傘下のジー・テイスト<2694>が株式上場しており、居酒屋や回転ずしなどの外食事業で800店舗弱、学習塾(ITTO個別指導学院)や英会話スクール(NOVA)を中心とした教育事業で約100校舎の運営を行っている。

○エコ再生エネルギー事業
2012年より新規参入した再生エネルギー事業では、主に太陽光発電事業を推進しているほか、地熱発電やバイオマス発電の事業化を進めている。また、地熱を活かした温浴施設や温水ハウスなどの事業化も進めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《FA》

 提供:フィスコ

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