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【特集】ヘリオステクノホールディング<6927>中古製造装置移設ビジネスに弾み


ラジオNIKKEI マーケットプレスの『フィスコ presents 注目企業分析』2月26日放送において、ヘリオステクノホールディング<6927>を取り上げている。主な内容は以下の通り。

■注目ポイント
実質3月相場入りとなり、来年度の業績動向に対する関心が高まるタイミングとなっている。12月中旬に来期の業績変化率の高さが材料視されて急騰、その後、調整が進んでいる同社などにはあらためて関心が高まってくる可能性は高いと考える。今期営業利益7.5億円に対して、来期の四季報予想では19億円となっている。

■会社概況
同社自身は純粋持株会社で、傘下にはランプ事業を手掛けるフェニックス電機、人材派遣事業などを行っている日本技術センター、製造装置を手掛けるナカンテクノの主要3 社を含めて連結子会社5 社で構成されている。また、同社の事業はランプ事業、製造装置事業、検査装置事業、人材派遣事業の4 つの事業部門から成っている。
2014 年3 月期実績ベースの売上高と営業利益の事業セグメント別内訳を見ると、現在はフェニックス電機が手掛けるランプ事業とナカンテクノが手掛ける製造装置が大きな割合を占め、人材派遣事業も収益拡大のけん引役になりつつある。

■事業内容(ランプ事業)
ランプ事業は自社で4 種類の製品を製造しているほか、他社からの仕入品も販売している。プロジェクター用ランプは過去に比べて大きく減少し、代わって露光装置用ユニットとLED ランプが伸びてきている。
露光装置用光源ユニットは、液晶パネルの重要部材であるカラーフィルター製造用の露光装置で使用されるもの。同社は光源としてのランプの販売にとどまらず、多数のランプを組み込んで光源ユニットに仕立てて、露光装置メーカーに納入している。
LED ランプも今後の成長が期待されている。照明分野全般で省エネ効果の高いLED へのリプレースが進んでいるが、同社もその流れに沿って商品開発を行っている。同社は競合の少ないニッチ市場に注力している。具体的には、高天井用や看板用照明などの分野だ。
プロジェクター用ランプは大きな成長は期待しにくいが、これまではフィリップスの特許に抵触しないように、同社は直流タイプのプロジェクター用ランプを製造してきた。しかしこのフィリップスの特許が間もなく切れるため、同社も交流タイプの製造販売を開始する予定だ。これは、同社にとっては純粋に商機拡大につながるものであり、ポジティブ要因であると言える。

(製造装置事業)
製造装置はナカンテクノが手がける事業だ。具体的な製品は印刷装置であるが、向け先がいわゆる印刷業界ではなく、LCD 向けやタッチパネル向けとして製造している点に特徴がある。
LCD 向けというのは配向印刷装置である。フレキソ印刷の技術を応用した製造装置を展開、同タイプの装置においては実質的にシェア100% となっている。この分野ではインクジェットプリンタータイプの配向膜印刷装置もあるが、フレキソ印刷はガラスサイズで言うと第8.5世代辺りまでの領域で優位性を持っている。
タッチパネル向けでは、同社の持つインクジェット、グラビアオフセット印刷、フレキソ印刷の技術を総動員して、タッチパネル製造の様々なプロセスに向けて機器を提供している。同社の装置のアピールポイントは省プロセス、インキ使用量抑制、環境負荷低減などであり、これらを突破口に販売を伸ばしている。
他に中古の製造装置の移設を事業として手掛けている。具体的には、日本や台湾で発生する中古のLCD 製造ライン、スマホ用LCD、スマホ用タッチパネルの設備を同社が買取り、これを主として中国のメーカーに販売する事業だ。同社は機器の販売のみならず移設まで行うため、この事業のリスクは決して低くない。また、中国の事業者を相手とする場合、資金回収でトラブルになることも多い。このような事情もあって、中古設備の対中国販売は、商機が多いと認識されていても実際にそれを行う業者が決して多くない。
同社は2009 年のナカンテクノ発足以来、この中古装置移設事業を行ってきた。同社がこの事業に取り組んでいる理由は、ナカンテクノの代表取締役社長である佐藤良久氏の中国における人的ネットワークがあるため。現在では中国国内に多数の取引先を抱え、大型受注も獲得している。

■業績動向
2015年3月期第3四半期(14年4-12月期)決算は、売上高は前年同期比31.5%増の97.07億円、営業利益は同40倍の2.27億円となった。
タッチパネル製造装置の受注が拡大したほか、関西技研やテクノプロバイダーの統合効果で人材サービス事業も大幅に増収となり、業績をけん引する形になった。なお、製造装置事業における第3四半期末の受注残高は179.43億円と高水準に。2015年3月期通期業績は、売上高が147.21億円で前期比14.1%増、営業利益が7.48億円で同43.8%増と予想。第3四半期までの好調を受けて従来予想からは上方修正の格好に。
2016 年3 月期が注目されるところ。受注残高の大幅な増加は中古設備装置の大型受注に関するもののようだ。これは2016 年3 月期に売上高として計上されるとみられ、業績の数値が大きく変動する可能性がある。
注意を要するのは、この大型案件はあくまで例外的なものであって、継続して受注できるものでないことに加え、大型案件であるだけに今上期に見られたような収益計上の期ずれによるリスクが大きいこと、および中国相手のビジネスであるため資金回収の状況に目を配る必要があることだ。こうした大型案件を無事に完遂できれば、中古製造装置移設ビジネスにおける同社の業容拡大に一段と弾みがつくことが予想され、同社にとっての成長エンジンとなる可能性があるともみられる。

■株主還元策
株主還元については配当によることを基本としている。配当の水準に関して、公約配当などを定めていないが、過去の配当実績を見ると安定的な配当を基本としながら業績が伸びた場合に増配で応えてきたことがわかる。2015 年3 月期の1 株当たり利益は特殊要因の剥落で減少するが、売上高や営業利益で見る本業が好調であるため、前期比横ばいの10 円配を予定している。2016 年3 月期は、前述した大型受注により一時的に業績が伸長する可能性がある。過去実績に照らして増配期待が高まってくる可能性もあろう。

ラジオNIKKEI マーケットプレス
『フィスコ presents 注目企業分析』毎週月・木曜14:30~14:45放送

《TM》

 提供:フィスコ

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