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【経済】アリババ、中国当局と意見対立、偽物指摘に反論


偽物商品取り扱い疑惑が浮上するなか、Eコマース世界最大手の阿里巴巴集団(アリババ・グループ:BABA/NY)が当局と対立を強めている。同社の蔡崇信・執行副主席は29日、決算発表の電話会議で、偽物商品の多さを指摘した工商総局を正式に訴えると発表。アリババによる当局への強硬姿勢を示した。
工商総局が23日発表した報告では、アリババ傘下の「淘宝網(Taobao.com)」で取り扱う商品のうち、正規品の比率はわずか37%に過ぎない。他の電子商取引業者を下回る水準にとどまった。その後の28日には、同局のホームページに、「アリババグループに対する行政指導作業状況に関する白書」を公開。同社のコンプライアンス上の問題点を複数列挙した。
この白書に対し、蔡・執行副主席は29日、「誤びゅうや漏れだらけ」と反発。「不正な報告」で、アリババに対する手段が「非常に不公平」とし、「正式に訴える」と明言した。すでに工商総局は、この白書をネット上から削除している。
この問題の業務への影響に関して、「こうした境地に陥っていることは、ビジネスの助けにはならない」とコメントした。プラスの影響は全くないことは認めながらも、「後退して大局を見る」と発言するなど冷静な姿勢。直近四半期にアクティブバイヤーが2700万人増加した事例などを提示し、「仮に品質が悪ければ、消費者の信頼が得られるだろうか」と反問した。
また、アリババも偽物商品への対策に力を入れていると強調。過去2年で10億人民元以上を偽物商品対策や消費者保護に投じ、専門チームの陣容は1000人を超える規模にまで拡大させたと説明した。直近では、さらに追加で300人を雇用したという。
アリババ側の強硬な姿勢によって、当局との対立は深まってきた。「先行き不透明感が漂う」などとの懸念から、足元のアリババ株価は下げ足を速めている。
他方、政府系メディアの論調は分かれる状態だ。人民日報ウェブサイトの人民網は、「淘宝は社会責任を放棄すべきでない」と批判的な論評を掲載している。一方で、アリババによる当局への強硬姿勢を「良いこと」と形容する政府系メディアもみられた。中央電視台のコメンテータは、「民営企業1社が政府当局に果敢に反発し、当局側も有名企業に対して法に基づいた監督を展開していることは、中国社会が進歩した事実を証明したもの」と指摘している。
アリババと当局の対立で漁夫の利を得るのは誰なのか??。こうした相反する論調をみていると、動向を冷静に見極める必要がありそうだ。
1999年に馬雲(ジャック・マー)氏が設立したアリババは、2003年に開設した消費者向けサイト「淘宝網(Taobao.com)」が大成功を収め、その後の業績が急成長。「淘宝網」や「天猫T?Mall」など傘下サイトの取引総額は、2014年6月末までの1年間で1兆8330億人民元に膨らんだ(国内シェアが約7割を占め、世界トップの規模)。 スマホの普及に対応したモバイル対応能力も高く、個人向け取引に占めるモバイル経由の比率は2014年4-6月期に32.8%まで上昇(前年同期比↑20.8ポイント)。企業間取引(B2B)にも強く、B2Bシェアで最大の「アリババ・ドットコム(Alibaba.com)」を傘下に擁する。

【亜州IR】

《ZN》

 提供:フィスコ

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