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【特集】ビーエスピーResearch Memo(2):ビーコンITの連結化で新たにデータ活用事業を取得


■事業概要

ビーエスピー<3800>は、金融や製造を始め、幅広い業種向けに基幹業務システムの運用管理等を行うパッケージソフトウェア(以下、製品)の開発、販売、サービスを主力としている。独自のノウハウを活かした運用コンサルティングや人材育成等の周辺業務のほか、運用代行サービスも手掛けている。

金融機関や大手企業を中心としたメインフレーム向けの製品が創業以来の安定収益源となっており、高い収益性を誇っている。顧客のジョブ管理や帳票管理など、ITシステム運用の自動化、効率化に貢献することで同社業績も着実な成長を遂げてきた。

一方、システムのオープン化やダウンサイジング化の進展、クラウドの普及、ビッグデータ活用など、外部環境の変化を事業拡大の好機と捉え、事業構造変革に着手した。これまでのITシステム運用の自動化、効率化に加えて、企業価値創造へも貢献できる分野へ事業領域を拡充することで成長を加速する方針である。

事業構造変革の一環として、2014年1月にデータ活用ソリューションを得意とするビーコンIT(同社が1993年7月に事業譲渡を受け本格的な活動を開始した際の母体会社)とその子会社を連結化(2015年4月1日に吸収合併を予定)した。同社は、2015年3月期を成長に向けた事業構造再構築元年として位置付け、業績は一旦踊り場を迎えるものの、ビーコンITとの組織融合及び事業シナジーの基盤作りを推進している。

同社の事業セグメントは、以下の4つに区分される。セグメント別の売上高構成で見ると、データ活用事業、システム運用事業、メインフレーム事業の3本柱となっているが、営業利益のほとんどはメインフレーム事業が稼いでいる。

a)データ活用事業
ビーコンITの連結化により新たに取得した事業であり今後の注力分野である。データ処理の高速化や運用機能の強化など、データ活用のためのソフトウェアの開発・販売及びデータ活用に関するコンサルティング等を行う。

b)システム運用事業
これまでの「プロダクト事業」「ソリューション事業」「運用BPO事業」を合わせた事業である。

プロダクト事業は、基幹業務システムの運用管理のうち、オープン系の製品を取り扱っている。運用自動化、帳票、ITサービスマネジメント(ITSM)の3つの領域における自社製品の開発・販売・サポートを行うとともに、他社製品も一部取り扱っている。製品の使用権の許諾料(ライセンス料)及び製品価格の一定割合の保守サービス料が収益源である。また、2013年3月より、需要が拡大しているクラウド領域において、「Be.Cloud」サービスも開始した。

ソリューション事業は、ITサービス領域におけるソリューションサービス(システム構築のコンサルティング、人材育成サービス等)や、会員制サービス「シスドック」(ITシステム運用に関する専門的なアドバイスを定期訪問により提供)、経営に貢献する運用部門の構築に向けたメソッドである「ASMO」を用いたソリューションサービス(企業価値分析や組織改革、人材育成等)などを行っている。

運用BPO事業は、同社が提唱するITシステム運用部門が企業価値創造に貢献するためのコンセプト「運用レス」に基づき、2013年10月から開始した運用代行サービスである。具体的には、ITシステム運用に関する改善提案から、システム構築、システム移行、プロジェクトマネジメント、サービスデスク構築などの支援を行う。

c)メインフレーム事業
基幹業務システムの運用管理のうち、金融機関や大手企業を中心としたメインフレーム系の自社製品を取り扱っている。メインフレーム系製品の利用者からは、翌年度以降に、保守サービス料として製品価格の一定割合を受け取っている。同社創業以来の主力事業であり、安定収益源となっている。

d)その他事業
ビーコンITの連結化により新たに取得した事業である。ビーコンITのa)以外の事業であり、事業継続対策の構築・運用・保守のサポートや人材派遣管理用のSaaSなどが含まれる。

2014年3月期末現在の顧客数(同社製品の導入企業数)は800社を超えるが、大手企業による導入実績が多くみられる。業種別売上構成比では、幅広い業種に対応しているが、製造、小売・流通、金融・保険の比率が高い。

販売チャネルは、直販が主体であるが、一部(帳票類)にパートナー経由のものもある。

連結子会社は、ソリューション事業(現システム運用事業の一部)を展開する(株)ビーエスピーソリューソンズと中国の販売拠点である備実必(上海)軟件科技有限公司(BSP上海)のほか、2015年3月期から連結化したビーコンITとその子会社((株)アスペックス、(株)ビーティス、(株)データ総研)など計7社で構成されている(2014年9月末現在)。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《FA》

 提供:フィスコ

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