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【経済】アベノミクスの批判はしても有力な代案を示せていない野党


14日の衆議院総選挙に向けて各党の公約が出そろった。与党自民党・公明党はアベノミクス選挙としてアベノミクスの推進を全面的に押し出している。これに対して野党各党は、民主党を筆頭に、アベノミクスに対して「行き過ぎた円安はよくない」「格差が拡大した」「景気回復の実感はなくアベノミクスは失敗した」等々の批判を行っている。確かに部分的には首肯できなくはないが、アベノミクスの「短期的には金融政策と財政出動で景気を支え、規制緩和等の成長戦略で中長期的な成長を図り、賃金上昇と物価上昇の好循環によりデフレから脱却する」という筋道立った方向性に対して有力な代案を示せているとは言い難い。例えば民主党の「柔軟な金融政策」「人への投資」「未来につながる成長戦略」という公約の内容は何を意味するのか分かりにくい。「柔軟な金融政策」とはどのように行われるのだろうか?民主党は「豊かな中間層の復活」を掲げているが、どのようにして復活するのかその道筋は明確に示されていない。他の野党も大規模な金融緩和の中止や、消費税増税の中止、消費税5%への引き下げ、非正規雇用者と正規雇用の格差是正等をそれぞれ掲げているが、散発的な印象が拭えない。景気をどのように回復させ、また財政についてはどのように考えて行くのかという全体構造が組み立てられた代案が見えない。
 むしろ、個別の点でも、野党の公約は今金融緩和を中止したり消費税を引き下げたりした場合、国債が暴落(金利が急騰)して金融に大混乱を引き起こすのではないか、といった不安感を持たせるようなものが多い。
 集団的自衛権や原発の問題は国民の中に様々な意見があるが、総選挙の争点における国民の関心がほぼ経済政策にあるとすれば、アベノミクスに代わる全体構造を持った有力な案を出せていない野党の苦戦は必至である。
 このままの状況で選挙に突入すれば、自民党・公明党の優位は動かず、現在の相場環境は大きく変わらないと思われる。
《YU》

 提供:フィスコ

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