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【市況】為替週間見通し:米GDP改定値と日米インフレ率に要注目


■ドルは一時118円98銭、消費増税延期や日本の景気対策への期待で円売り継続

先週のドル・円は強含み、115円46銭から118円98銭まで上昇した。安倍首相が2015年10月からの消費増税を2017年4月まで延期し、景気対策を打ち出したことで、リスク選好的な円売りは継続。19日公表された10月28-29日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録でドル高に対する警戒感が示されなかったことも意識されたようだ。ただ、麻生財務相が「円の下がり方のスピードのテンポ速すぎる」と円安牽制発言をしたことで、ドルの上げ幅は縮小した。取引レンジは115円46銭-118円98銭。

■米国の7-9月期GDP改定値と日米インフレ率に要注目

今週のドル・円は、24日が日本の勤労感謝の日の振替休日、27日が米国の感謝祭休日で閑散取引の中、米国の7-9月期国内総生産(GDP)改定値と日米のインフレ率を見極める展開となる。リスク要因は、イスラム国を空爆している有志連合国でのテロの可能性、エボラ出血熱の感染拡大懸念、地政学的リスク(ウクライナ情勢、中東情勢)の緊迫化などが想定される。ただし、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外貨建て資産への投資増額(23%⇒40%)への期待は高いことから、ドル安・円高が急速に進行する状況ではないと見られる。

■米国7-9月期国内総生産(GDP)改定値(25日)

米国の7-9月期の国内総生産(GDP)改定値は、前期比年率+3.3%と予想されており、速報値の前期比年率+3.5%からの下方修正が見込まれている。リスクシナリオは、インフレ指標であるコア個人消費支出(PCE)価格指数が速報値の前期比+1.4%から下方修正された場合となり、米国連邦準備理事会(FRB)の利上げ時期の先送り観測が高まることになる。

■日本銀行金融政策決定会合議事録(25日)

黒田日銀総裁は、「2回の消費増税を前提に政策決定している」と述べ、10月31日の追加緩和(黒田バズーカ砲第2弾)は、2015年10月の消費増税10%が前提であることを表明した。安倍首相が2015年10月の消費増税の延期を決定したことで、黒田バズーカ砲第3弾の可能性は低下しており、10月31日の日本銀行金融政策決定会合の議事録への注目度合いは低下している。

■米国の10月インフレ率(26日)

米国連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している米国10月のコア個人消費支出(PCE)価格指数は、前年比+1.5%と予想されており、9月の+1.5%から変わらずと見込まれている。予想を上回った場合は、米国連邦準備理事会(FRB)の早期利上げ観測が高まり、下回った場合は、早期利上げの思惑は後退することになる。

■日本の10月インフレ率(28日)

日本の10月のコアインフレ率は、前年比2.9%と予想されており、9月の+3.0%からの低下が見込まれている。日本銀行は、消費増税3%(5.0%⇒8.0%)の影響を+2.0%と試算しており、消費増税の影響を排除したインフレ率は、前年比+0.9%となり、黒田日銀総裁のインフレ目標+2.0%から乖離することになる。

主な発表予定は、25日(火):(米)9月S&Pケースシラー住宅価格指数、26日(水):(米)10月個人消費支出、(米)10月PCEコア指数、28日(金):(日)10月失業率、(日)10月鉱工業生産。

予想レンジ:115円00銭-120円00銭

《TN》

 提供:フィスコ

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