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【市況】国内株式市場見通し:実質3週間の選挙戦、選挙アノマリー期待も


■GDPショックは一瞬で

先週の日経平均は下落。週初は7-9月期の国内総生産(GDP、速報値)が予想外のマイナスだったことを受け500円を超える急落に。ただ、GDPの下方修正こそ織り込んでいたが、まさかのマイナスに市場は、景気減速懸念を警戒する流れに。ただ、この下落局面ではファンド筋などが過剰に反応したとみられ、翌日には一気に下落部分の大半を埋めてくるなど、下値での年金資金と見られる買いなども観測された。

とはいえ、GDP通過後に消費再増税の先送り、衆院解散・総選挙を手掛かりとした選挙相場を意識していた参加者にとっては手掛けづらさにつながった。円相場は1ドル118.円98銭と119円台に迫る局面においてもトヨタ<7203>など主力処の一角への資金流入にとどまっており、日本株全体の上昇というよりもリバランス中心。また、中小型の主力処には需給悪化も警戒される値動きをみせていた。衆院解散・総選挙に向けたアノマリーとして、投開票までは上昇が期待されているが、やや今回は違うのではとの慎重派が増えていた。

■実質3週間の選挙戦に入る

政府は21日の臨時閣議で、衆院選の日程を「12月2日公示、14日投開票」とすることを正式に決めた。これにより、今週から実質3週間の選挙戦に入ることになり、選挙相場の流れが強まることになりそうだ。しかし、先週のこう着によって開票日までの上昇といったアノマリーへの期待感はやや沈静化している。11月SQ値(17549.60円)が依然として年初来高値を上回っている状況であり、幻のSQであることも、需給的には上値追いに慎重にさせるだろう。

■中国は予想外の利下げ、欧州は緩和示唆

また、先週末21日に、中国人民銀行は予想外の利下げを発表した。景気減速兆候が強まる中、てこ入れで経済を支援する。これを受けて先週末の欧米市場は軒並み上昇しており、東京市場もこれを引き継ぐ格好から買い先行のスタートになりそうだ。中国の利下げにより、足元で低迷している資源株などには需要期待からの見直しに向かわせる可能性がある。ただし、今回の中国の予想外の利下げは、4日の日銀による追加緩和「黒田バズーカ第2弾」的なサプライズ感があり、市場の関心が向かいやすい。また、ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が、ユーロ圏のインフレ率を迅速に高めなければならないとし、そのために「何でもする」との姿勢を示した。市場の関心が海外に向けられるようだと、全体としてはこう着感の強い相場展開が続きそうである。

■米年末商戦への期待、JPX400先物開始

そのほか、今週は米国では27日のサンクスギビングデー(感謝祭)から年末商戦が本格化する。足元の経済が好調な米国では、小売企業の好決算も相次いでいる。年末商戦での売上増が確認されてくるようだと、日本株市場への好反応にもつながろう。とはいえ、感謝祭の祝日のほか、ブラックフライデーとなる翌日については半日取引になるため、海外経由の資金流入は限られそうである。

また、今週からJPX400先物の取引が開始される。先物を使ったヘッジ目的の売買も可能になり、利便性の向上でJPX日経400の流動性が増えることが期待されている。GPIF改革での組み入れが見込まれるほか、企業の高ROE政策へ向かわせた要因でもある。既に裁定等に向けた手当て買いは積み上がっていると考えられるが、流動性が高まることによっては、日銀による買入れ対象にもなるため、市場参加者の関心は高いだろう。

■低位材料株などの一角に

物色の流れとしては、商いが膨らみづらい需給状況のなか、低位材料株などの一角に資金がシフトしやすいと考えられる。ここにきて訪日外国人を手掛かりとした物色が強まってきているが、足元の円安によって観光客は増えており、物色対象についても次第に広がりが見られそうである。足元ではソフトバンク<9984>、ミクシィ<2121>の調整が続いており、柱となる存在が見当たらない状況であり、資金回転の速い形での循環物色になりそうである。来月に入ると新規株式公開(IPO)が30社近く予定されている。短期筋の資金はこれらを手掛けてくると考えられ、個別の需給も大きく荒れやすい。

《TN》

 提供:フィスコ

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