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【市況】【北浜流一郎の乱にチャンスあり!】


「頼るは再起力の高い銘柄!」

●株式急落を招いた円反騰

 10月は米国市場にとって「魔の月」だが、残念ながらいまのところそれが現実化してしまっている。

 前回の大暴落であるリーマン・ショックによる暴落は9月に起きたものの、その他はほとんど10月に起きているため、米国の投資家たちは10月と聞いただけで身構えるのが普通だ。世界各国から米国市場に投資している投資家たちも当然同様で、今年も月初から警戒感は高かったものの、誰しもこれほどの下げになるとは思わなかったのではないか。

 なぜ、これほど下げなければならないのか? 最大要因は、対ドルでの円の反発になる。円は一時110円まで下げた。そのまま下げ続けるのは無理で、一時的な戻りは当然想定され、実際に5円ほどの上昇はあって当然ともいえたが、市場の反応は想定以上のものになってしまった。

 今回の円反騰で分かったことは、東京市場は円が下がらなければ上がれない。この事実である。しかも、大事なのは、円が上がった場合、内需性の高い銘柄が上がるかとなったら必ずしもそうならないことだ。つまり、円の上昇で、国内消費への依存度の高い銘柄を含め、ほぼ全面的に売られて下げてしまう。こうなるのだ。

 円の下落に対しては、もちろんそのデメリットが強く報道される。そして、政府からも円の急激な下落は望ましくない、などの発言がある。特にマスコミは、円の下落に否定的な記事を好んで掲載する。

 しかし、株式投資の観点からは、円が下げないことには儲かりにくいのだ。

●大バブルの形成・崩壊は回避へ

 10月初めまで順調に下がり続けていた円が、急激に方向転換してしまったのはなぜ? IMFが10月7日に発表した世界経済の予想と、それに付随する形で指摘した「泡立ち」が原因といえる。

 IMFは、14年の世界経済全体のGDP増加率を3.3%、と7月の前回予想より0.1ポイント下方修正したのだ。わずか0.1ポイントの修正も、金融市場から見ると軽いショックになってしまい、世界の金融市場は失望売りに見舞われてしまったのが実際だ。

 IMFは日本の成長率も引き下げていて、7月時点より0.7%下方修正し、0.9%成長と予想している。これはこれで問題ではあるのだが、株式投資の観点からはさほど神経質になることはない。現在の東京市場は、国内情勢とはほとんど関わりなく動いているからだ。この点で重要となるのが、IMFの別の指摘だ。

 7日の発表でIMFは「地政学的緊張が高まるリスクや、株式市場が泡立つ水準に達し、金融市場が調整に見舞われる恐れがある」と指摘したのだ。どの国との指摘はなかった。しかし、明らかに米国市場を指し示していたのだ。

 それは次の文言から分かる。「リスクを過少評価し、マクロ経済見通しを巡る不確実性や、それに伴う一部主要先進国の金融刺激策解除のペースへの影響を十分に理解していない恐れがある」――こう言っているのだ。平たく表現し直すなら、米国が量的金融緩和をやめるが、その影響を考えているのか。バブルの兆候が見られるのに、そのままでいいのか。こう警告したということになる。

 IMFにここまでリスクを指摘されて、無視する金融機関はまずない。「そうだよな。確かにバブルが発生しつつあったともいえる。少し買いを手控えるか」――こう考えるのが正常で、いまはそれを実行中ということになる。

 私はこんな動きは歓迎すべきものと考えている。目先は確かに嬉しくない。しかし、IMFの警告がなければ、本当に大バブルに発展、そしてやがてそれは崩壊してしまい、再びリーマン・ショック的な下落に見舞われかねなかったのだ。

 それは避けられたと見てよいため、ここでは再起力が高そうな次のような銘柄を拾っておきたい。

 ユニチャーム <8113> 、日本空港ビル <9706> 、SUMCO <3436> 、パイロット <7846> 、蛇の目 <6445> 、アステラス <4503> 、ミネベア <6479> などになる。

 いずれも毎度お馴染みの銘柄ながら、下値が固く再起力の強い銘柄となると、これらが引き続き頼とりなる。

2014年10月17日 記

「チャートブック日足集」No.1542より転載

(「株探」編集部)

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