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【市況】新興市場見通し:中小型株へ資金回帰、IPO市場の活況が刺激材料


先週の新興市場は、円安進行を背景に景気敏感系の大型株への関心が続く中で、方向感が乏しい展開となった。外部環境の改善は心理的な支援材料となったものの、ドル・円の急速な円安進行によって中小型株よりも相対的に大型株へと資金が向かう状況に。手掛かり材料も乏しく、物色は好材料の出た一部の銘柄などに留まった。ただし、週末にかけては、約1ヵ月半ぶりに再開したIPO(新規株式公開)の人気化が刺激材料となり、やや盛り上がりを取り戻す格好にも。なお、週間の騰落率は、日経平均が+1.8%であったのに対して、マザーズ指数は+0.6%、日経ジャスダック平均は-0.2%だった。

個別では、日本通信<9424>がiPhone向けSIMの発売を発表し、週末にかけて強含んだ。ラック<3857>は、ベネッセHD<9783>の顧客情報流出事件に関して、再発防止策として顧客データの保守・管理を行う子会社を設立すると発表し急伸。また、11日にマザーズ市場へ上場したJIA<7172>の初値は公開価格の約2.3倍と人気化となったほか、メドピア<6095>やフリークアウト<6094>など、直近IPO銘柄の一角にも見直しの動きが波及した。メドピアについては、1:5の株式分割などを発表したことも支援材料に。一方、ミクシィ<2121>やサイバーダイン<7779>など、マザーズ市場の主力株は上値の重い展開が継続。その他、菊池製作所<3444>は第1四半期の赤字決算が嫌気され換金売り優勢となった。

今週の新興市場は、外部環境の落ち着きを支援材料に、上値を試す展開となりそうだ。為替市場の動向次第では引き続き、景気敏感系の大型株へと資金が向かう可能性があるものの、急速な円安進行が一服する局面では中小型株への資金回帰が見込まれる。とりわけ、先週から再開したIPO市場の活況が刺激材料となり、新興市場の中小型株にあらためて関心が高まるとみられる。マザーズ指数は25日線水準で底堅さが意識されており、再度、直近戻り高値水準である節目の1000ポイントをトライする展開が期待されよう。

個別では、バイオ関連銘柄やIPO銘柄の動向が注目されることになりそうだ。先週末に、理化学研究所などが世界で初めてiPS細胞を使った患者への移植を実施したことを受けて、週初はバイオ関連に短期資金が向かうことが想定される。とりわけ、iPS細胞関連と位置付けられるタカラバイオ<4974>やリプロセル<4978>のほか、J・TEC<7774>などの再生医療関連にも見直しの動きが期待される。

また、今週は、17日にロックオン<3690>、18日にリアルワールド<3691>、19日にAMBITION<3300>がそれぞれマザーズ市場に上場する。11日に上場したJIA<7172>の初値は公開価格の約2.3倍となる人気化となったことを受けて、今月末にかけてのIPOラッシュも盛り上がりを見せる公算。今週においては、ネット関連のIPO案件と位置付けられるロックオンやリアルワールドの初値人気が高まることになりそうだ。その他、今週は19日に中国電子商取引大手のアリババが米国で上場する見込み。アリババは公開価格の上振れの可能性が伝わるなど、人気化は必至とみられており、ネット通販関連などの刺激材料ともなろう。

《TN》

 提供:フィスコ

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