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【市況】【杉村富生の短期相場観測】


「続く流れに逆らうな、ついていくのが儲けの道!」

●地政学上のリスクは大幅に低下

 株式市場を取り巻く環境は極めて良好である。地政学上のリスクは低下が著しい。これを受け、世界的に“株高”となっている。ウクライナとロシアは話し合いの場に着席、イスラエルとパレスチナ(ハマス)は長期停戦に合意した。この背景にはアメリカ・オバマ大統領の外交姿勢の変化がある。

 そもそも、国際紛争の多発はオバマ大統領の内向き、弱腰の外交方針にあった。いわゆる、軍事的な抑止力の欠如である。しかし、先のイラクの「イスラム国」に対する空爆に続き、シリアの過激派を空爆する準備を進めているという。

 この効果は大きい。すでに、流れの変化がみられる。和平に向けての動きである。

 これは世界経済にとって、好材料である。紛争が長引けば世界景気が失速する可能性があった。それに、“制裁合戦”は何のメリットも生まない。各国の首脳がここに気づいたのは大きな成果だろう。

●国策は円安・株高(資産インフレ)!

 繰り返しになるが、日本の場合、国策は円安・株高(政府は資産インフレを狙う?)である。古来、国策に逆らうな!政策に売りなし!という。この“潮流”を見逃してはいけない。そう、続く流れに逆らうな、ついていくのが儲けの道!である。

 さらに、日本は財政再建が急務となっている。すなわち、1000兆円を超える国家債務をどうするつもりなのか。

 これは難問である。現状では終戦直後の「ウルトラC」(ハイパーインフレ、預金封鎖、新円切り替え、財産税の徴収、踏み倒し→戦時補償令の廃止)は使えない。当時はこれによって、公的債務残高比率は204%→56%に劇的に改善したのだが…。

 また、年末には消費税率再引き上げ(8%→10%)の最終決断を迫られる。なにしろ、4~6月期のGDP成長率はマイナス6.8%と、日本の金融危機直後の1998年1~3月期のマイナス7.4%、東日本大震災直後の2011年1~3月期のマイナス6.9%に匹敵する厳しい落ち込みとなった。特に、地方がひどい。

●9月以降は「何でもあり」の政策を断行!

 こんな状況では消費税率の再引き上げは困難だろう。

 このため、9月以降は「何でもあり」、政策総動員態勢となろう。とりあえず、ローカル・アベノミクス(地方創生)の断行である。

 9月の内閣改造では地方活性化担当相が新設される。加えて、地方創生関連法、カジノ解禁を目指す統合型リゾート推進(IR)法などが審議される。

 さらに、総事業費5兆5000億円強のリニア中央新幹線(品川~名古屋)の着工がある。もちろん、治水、砂防など防災対策も緊急の課題だろう。

●ビッグプロジェクトの総額は50兆円に!

 ちなみに、現在の建設投資額は年間48兆円程度だが、2020年までのビッグプロジェクトの総額は50兆円に達する。

 一方、企業業績は好調である。2014年3月期では3社に1社が史上最高決算になったが、2015年は4社に1社が史上最高の決算になる、といわれている。

 反面、日本株は出遅れが著しい。この修正が始まっている。日経平均株価は早晩、昨年末の高値1万6291円を奪回、金融危機前の高値(2007年7月9日1万8261円)挑戦の展開となろう。

 需給面では外国人の強気転換があろう。加えて、GPIF、かんぽ生命の買いが期待できる。

 物色面では鉄建 <1815> 、熊谷組 <1861> 、大豊建 <1822> など政策テーマに沿う銘柄が狙い目である。小物ではエスクロAJ <6093> [JQ]、ソディック <6143> [東証2]、アテクト <4241> [JQ]が強い。強力な筋の介入がささやかれている。

2014年8月27日 記

(「チャートブック日足集」No.1535より転載)
(「株探」編集部)

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