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【市況】国内株式市場見通し:トヨタ、ソフトバンク決算やJPX400入れ替えに関心


■日経平均は半年ぶり15500円の節目を突破

先週の日経平均は上昇。週初に節目の15500円を半年ぶりに超えると、7月31日には一時15759.66円まで上げ幅を拡大させた。この上昇の主因は主要企業の決算が本格化する中で、好調な四半期決算の発表が相次いでいること。また、為替市場での円安の流れも安心感につながっている。週末こそ31日の米国市場でNYダウが300ドルを超える下げとなったほか、米雇用統計を控えて利食いが先行。しかし、日経平均の下げは限定的であり、好調な企業決算が評価材料となる中、全体的に底堅さが意識されていた。実際、1日の日経平均は100円近い下げとなり、東証1部の値下がり数は1400を超え、全体の8割を占めているにも係わらず、それを感じさせない状況だった。

■業績が良い企業と悪い企業が二極化

決算については前半戦第1弾のピークが通過した。コンセンサスを上振れる企業が多く、市場は高評価をみせている。特に、これまでは決算結果を受けて短期資金が集中し、これが日替わり的な物色につながり、次第に手掛けづらくなっていた。

しかし、今回は継続的に資金流入が続いていることから、投資家にとって安心感がある市場環境である。とはいえ、業績が良い企業と悪い企業が二極化しており、悪い企業にはストップ安まで売り込まれる銘柄も目立つ。アク抜けといった動きではなく、決算を受けて、改めて評価する流れに映る。

そのため、ザラバ決算銘柄へも先回り的な狙いでの参加はしづらく、発表直後の乱高下の動きはそれ程目立たない。そのため、結果を見極めてから改めて参戦しても間に合う状況であろう。さらに、先週はコロプラ<3668>が急騰。決算では上方修正しているが、内容は市場コンセンサスの範囲内であった。これまでの上昇等をみれば材料出尽くしになるかに思えたが、再度評価が強まる状況をみると、個人の需給は相当良好である。

■トヨタ、ソフトバンク決算に注目

今週も主要企業の決算が続くが、トヨタ<7203>、ソフトバンク<9984>辺りの動向が、今後の方向性を映しそうである。トヨタの決算といえばリーマン・ショック時に5000億円の営業赤字を計上し、これが相場全体の悪材料出尽くしともとれるボトム形成につながった経緯がある。1日発表の7月の米新車販売台数では、トヨタは11.6%増の21.5万台で、11ヶ月ぶりに米フォード・モーターを抑えて米GMに次ぐ2位に浮上している。決算次第では自動車部品株への見直しや国策ともいえる燃料電池・水素ステーションなどへのテーマ株物色への波及にもつながる可能性が意識されそうだ。

一方、ソフトバンクについては先週、フランスの携帯電話会社イリアッドは米TモバイルUSの株式56.6%に対し現金150億ドル(約1兆5400億円)で買収案を提示したと報じられている。買収合戦に発展する可能性などもあり、思惑的な値動きなども強まりやすい。指数インパクトの大きい銘柄でもあり、波乱要因になる可能性がありそうだ。

■JPX日経400の採用銘柄の入れ替え

そのほか、7、8日には日本銀行が政策委員会・金融政策決定会合を開き、会合後に黒田総裁が会見する。現状維持であろうが、現在の好需給環境、決算が本格化する中では嫌気されることはないだろう。反対に、ポジティブ材料は買い安心感につながるため敏感に反応しそうである。そのほか、7日にJPX日経400の採用銘柄の入れ替えが発表される。改めて高ROE銘柄への関心が集まりそうなほか、年金買いが意識されることで下値の堅さが一段と意識されそうである。

9月初旬には内閣改造を控えており、アベノミクスが加速する。決算一巡後は政策期待が高まりやすく、政策に関連する銘柄への物色が次第に意識されることになるだろう。外部環境ではロシアやパレスチナ情勢といった地政学リスクの高まりが上値を抑える要因になろうが、例年通りの夏枯れ相場にはならなそうだ。

《TN》

 提供:フィスコ

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