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【特集】アールテック・ウエノ Research Memo(8):感染症のリスクがない生物製剤によるドライアイ治療薬として開発中


■新薬開発動向

(2)重症ドライアイ治療薬「遺伝子組換え人血清アルブミン点眼液(RU?101)」

「ウノプロストン(UF-021)」に続くアールテック・ウエノ<4573>の有望新薬として「遺伝子組換え人血清アルブミン点眼液(RU-101)」がある。同点眼液は世界初の生物製剤によるドライアイ治療薬として開発中で、遺伝子組み換え人血清アルブミン製剤のため、感染症のリスクがないというメリットがある。ドライアイ治療薬の市場規模としては、グローバルで1,500億円の市場があると推定されており、過去5年間で市場は2倍に成長、今後も年率10%の成長が見込まれている。

現在、ドライアイの治療に対しては様々なアプローチがなされている。抗炎症薬として唯一米国で承認されている米アラガン社の「Restasis(R)(シクロスポリン)」は、2013年の売上高で940milドル(940億円)の規模となっている(欧州、日本は未承認)。また、保湿・水分補給薬ではヒアルロン酸ナトリウムやメチルセルロースなどを使った医薬品が米国では大衆薬品として、日本でも処方箋薬として販売されている。ムチン/水分分泌促進点眼液を使用するケース(日本のみ承認、参天製薬「ジクアス(R)」、大塚製薬「ムコスタ(R)」)もある。

こうしたなかで、同社は生物製剤で感染リスクゼロのアルブミン製剤で参入を図っていく。効能としては保湿、ムチン分泌による上皮保護、経度の抗炎症作用があり、抗炎症薬(Restasis)との併用でより効果が高まることが期待されている。

治験に関しては2013年10月に安全性試験となる第1相臨床試験を完了し、現在は有用性・安全性を評価する前期第2相臨床試験を進めている。2014年秋頃にも前期第2相臨床試験の結果が明らかとなる見込みで、その結果を持って海外大手医薬品企業とのライセンス交渉に入る予定となっている。

適応領域としては重症型のドライアイ患者を対象として市場の開拓を進めていく方針で、その後徐々に適応領域を拡大していく考えだ。米国ではドライアイの患者数が約500万人いるが、このうち重度の患者が約3割、中程度の患者が4割程度と推定されており、中程度以上の患者が将来的には対象患者となる可能性がある。市場規模はピーク時で50,000百万円程度となる。このうち、同社の収益としては売上高に応じてライセンス供与先から受け取るロイヤリティ収入(売上高の10%以上)のほか、受託製造サービスによる利益が見込まれることになる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《FA》

 提供:フィスコ

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