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【経済】NYの視点:独インフレ&欧州製造業PMIはECBの追加緩和を正当化


ユーロ圏の5月製造業PMI改定値は52.2と予想外に速報値の52.5から下方修正され、昨年11月以来で最低となった。また、国別でもオランダ、スペイン以外の欧州諸国の製造業PMIが軒並み鈍化。イタリアの製造業PMIは53.2と、4月の54.0から低下。欧州で最大規模の経済を持つドイツの製造業PMIは52.3と、4月の54.1から低下し昨年10月来の低水準となった。第2位のフランスの製造業PMIは49.6と、1月以来で最低。また、3か月ぶりの50割れで活動の縮小に落ち込んだ。オーストリアの製造業PMIは50.9と、4月の51.4から低下、ギリシャの製造業PMIは51.0と、4月の51.2から低下した。

諸国⇒5月PMI⇒4月PMI⇒MOM 変化

ユーロ圏⇒52.2⇒53.4⇒(1.2)
ドイツ⇒52.3⇒54.1⇒(1.8)
フランス⇒49.6⇒51.2⇒(1.6)
スウェーデン⇒54.1⇒55.5⇒(1.4)
ノルウェー⇒49.8⇒51.1⇒(1.3)
ポーランド⇒50.8⇒52.0⇒(1.2)
イタリア⇒53.2⇒54.0⇒(0.8)
ハンガリー⇒53.9⇒54.6⇒(0.7)
オーストリア⇒50.9⇒51.4⇒(0.5)
ギリシャ⇒51.0⇒51.2⇒(0.2)
オランダ⇒53.6⇒53.4⇒+0.2
スペイン⇒52.9⇒52.7⇒+0.2

また、欧州中央銀行(ECB)の今後の金融政策を探る上で注目されていたドイツ5月消費者物価指数速報値は前月比-0.1%と4月の-0.2%に続き予想外に2か月連続のマイナスとなった。前年比でも+0.9%と、市場予想の+1.1%を下回り2010年6月以来ほぼ4年ぶりの低水準となった。

製造業活動の悪化に加えて低インフレの圧力は欧州中央銀行(ECB)による追加緩和を正当化する。欧州中央銀行(ECB)は5日に開催される定例理事会において政策金利を現行の0.25%から0.1%に引き下げるほか預金ファシリティレートを現行の0%からマイナス金利に引き下げるなど全3種類の金利の引き下げに踏み切ると見込まれている。その他、ドラギECB総裁は前回5月の理事会において「様々な範囲での緩和措置を講じる」ことを示唆しており、信用を緩和し融資を拡大する措置も講じると見られている。ここまでは織り込まれつつある。しかし、最大の焦点はドラギECB総裁が米連邦準備制度理事会(FRB)型の量的緩和(QE)に言及するかどうか。ドラギECB総裁がQEに言及した場合にはユーロ売りが加速すると見られている。

■ECB定例理事会に向けた予想

*シティG
・預金ファシリティレートを現行の0%からマイナス金利に引き下げるとユーロにとって大きな圧力となる。

*ゴールドマンサックス
・ドラギECB総裁の発言「流動性に関する措置に焦点を当てる」から、ECBが信用の緩和を発表する可能性が強い。追加利下げとともにドラギECB総裁がQEに言及した場合にはユーロ売りが加速する。

*ドイツ銀
・量的緩和(QE)の発表がない限り、ECBによる追加緩和による影響は限られる。

*クレジットアグリコール
・欧州中央銀行(ECB)が市場の期待ほどの緩和策を講じなければユーロの上方リスクが広がる。ドラギECB総裁がQEを示唆しない限り、ユーロの下値は限られる。

《KO》

 提供:フィスコ

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