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【経済】今度は逆に米国が中国を救うか


各種指標から中国経済の「減速感」が明らかとなっている。リーマン・ショック後の世界経済を支えたのは中国の大規模な経済対策とそれによる成長だったが、過剰投資の後遺症が顕在化しつつある。4兆元もの経済対策を打ったが、持続性の低いプロジェクトにもかなりの資金が流れ込み、回収困難なものが出てきていることが各方面に負の連鎖を引き起こしている。他方、米国経済は中国の下支えなどによる新興国の経済成長と大規模な金融緩和によってリーマン・ショックからたった5、6年で劇的ともいえる回復を果たした。
 世界経済の情勢はこの短期間の間に、米国のバブル崩壊→中国経済の下支えから、中国バブル崩壊懸念→米国経済回復による下支えという両者の立場が完全に逆転する事態となりつつある。言うまでもなく、世界経済は経済規模(GDP)が第1位の米国と第2位の中国の経済情勢によって決定的な影響を受ける。貿易の数量ともに同二国間のものが世界最大だ。
 今回は逆の立場になって、中国のバブル崩壊懸念に対して米国の経済回復がこれをどの程度下支えするのかが今後の世界経済の最重要事項である。これに比べればウクライナ情勢などは、経済的な影響に限って言えば取るに足らない。
 もっとも中国バブル自体が崩壊するとはまだ決まったわけではない。思った以上の景気減速が明らかになれば、中国政府も経済対策や金融緩和を実施せざるを得ない。日本や米国のバブル崩壊だけはなんとしても避けたい中国政府は、もしそのような兆候が見られれば、一党独裁の共産党国家だけに再度驚くような施策を打ってくる可能性も残されている。もしそうなれば、ソフトランディングどころかバブル再加速ということもありうる。
《YU》

 提供:フィスコ

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