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大塚竜太氏【嵐の前の静けさ? 閑散商状続く東京市場】(1) <相場観特集>


―重要スケジュール前に動けない投資家とその先の景色―

 週明け17日の東京株式市場は、相変わらず日経平均株価は方向感なく2万1000円近辺をさまよう展開。下値は押し目買いが支えるものの、積極的に上値を買う動きもみられない。今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)という重要スケジュールがあり、国内でも日銀の金融政策決定会合を控え様子見ムードは仕方ないところ。向こう1ヵ月程度の株式市場の見通しについて第一線で活躍する市場関係者に話を聞いた。

●「G20前後にボラティリティ高まる可能性も」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 東京株式市場は目先的には手を出しにくい状況が続く。前週末はメジャーSQ算出日にして2兆円をかろうじて上回る売買代金にとどまったことは、今の市場参加者不足の実態を浮き彫りにした。今週18~19日のFOMCでは7月利下げのシナリオを確信させるものになるかもしれないが、仮にそうなったとしてもマーケットは織り込みが進んでおり、プラス材料としてはインパクトが弱いだろう。

 とはいえ、現在は低調な商いの中で株価のボラティリティも縮小傾向にあるが、これが恒久的に続くことはない。どこかで転機を迎えるはずだ。来週末28~29日には大阪で20ヵ国・地域(G20)サミットが開催されるが、このビッグイベントがひとつの変化をもたらす可能性がある。

 注意しなければならないのは、G20を目前にして米中首脳会談の見通しが立っていないことだ。米国との制裁合戦ではいいところなしだった中国も、レアアース供給絡みで一矢を報いた感があり、これが両国の歩み寄りを更に遅らせている部分もありそうだ。いずれにしても、6月下旬はスケジュール面から相場の値動きが荒くなる公算が小さくない。

 これを考慮したうえで、日経平均の向こう1ヵ月に想定されるレンジは2万~2万2000円とやや広くみておきたい。悪い方に傾いた場合は投げ売りで2万円大台攻防を意識させる局面が想定される一方、米中摩擦問題に解決の方向性が見えれば、買い戻しが一気に進み上値を急速に切り上げる展開もあり得る。

 物色対象としては、現在売り込まれている半導体関連株の押し目を拾っておくのも有効。中国の景気減速懸念を理由に売り込まれているが、これは食傷気味の悪材料ではある。構造的に半導体需要が減少する道理はなく、ここから一段と下押す場面は買いに分があると考えている。これ以外では内需系の電鉄や不動産株を狙ってみたい。今週21日ごろに政府の“骨太の方針”が発表される可能性が高く、これから選挙を控えていることもあって内需の土地絡みのセクターには追い風が期待される。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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