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大塚竜太氏【相場に春の息吹、日経平均株価の上値どこまで】(1) <相場観特集>


―2万1500円を終値で突破、新年度相場への期待感も―

 週明け18日の東京株式市場は、前週末の強い地合いを引き継ぎ日経平均株価が続伸。心理的フシ目の2万1500円ラインを終値ベースで上回ってきた。米中摩擦への警戒感が完全に払拭されたわけではなく、今後は日本と米国の間で自動車関税引き上げを巡る通商協議が控えている。依然、楽観視できないとはいえ、それでも全体相場の体感温度はひと頃より上昇していることは間違いない。季節同様に日本株にも春が訪れるのかどうか、先読みに定評のある市場関係者2人に今後の相場展開と物色の方向性について意見を聞いた。

●「新年度にかけ一段の上値を試す展開に」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 東京株式市場はここまで今一つ方向性がつかみにくかったが、3月下旬は上値指向が強まるタームに入っている。機関投資家の決算対策売りが一巡し、一方で個人投資家の配当や株主優待などの権利取りを狙った買いが入り、自然と上値を慕う局面となりやすい。

 4月に入れば年度替わりで機関投資家の新規資金が流入する。更に日経ボラティリティ・インデックスは直近15.8%と昨年秋口以来の低水準にあり、リスク許容度が高まっている。これは「リスク・パリティ・ファンド」の買いを誘導する背景ともなり、日経平均はここからもう一段上値を試す展開が想定される。今回の世界景気減速懸念の発信源である中国も全人代で打ち出した景気対策の効果が徐々に発現してくると思われ、投資家のセンチメントは落ち着きを取り戻すだろう。

 目先要注目となるのは19~20日の日程で行われる米FOMCでの景気に対する認識や今後の金融政策のシナリオだ。20日にはパウエルFRB議長の会見が予定されるが、ハト派に宗旨替えしたとみられる同氏の発言を確認したいという思惑はマーケットに根強い。ただ波乱要素には乏しく、このFOMCを通過した後、株式市場は日米ともに買いに分がある展開となるだろう。

 今のハト派路線はFRBに限ったことではなく、ECBも同様だ。また、日本も4月24~25日の日程で行われる日銀金融政策決定会合で、これまでの判で押したような現状維持ではなく追加緩和的な政策に舵を切る可能性があり、こうなれば全体相場はサプライズ的な上昇局面に突入することもあり得る。

 日経平均は適度に押し目を形成しながらも、早晩2万2000円ラインをうかがう展開が予想される。更に新年度相場ではこの水準を通過点にして2万2500円前後まで上昇する余地がありそうだ。物色対象としては、半導体関連にいよいよ出番が回ってきそうな雰囲気となってきた。東京エレクトロン <8035> やアドバンテスト <6857> などの半導体製造装置関連や信越化学工業 <4063> をはじめ半導体素材を手掛ける企業群に物色の矛先が強まる可能性がある。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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