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富田隆弥の【CHART CLUB】 「中国ハイテク産業は好況」


◆今回は中国株に目を向けてみる。中国は米国の通商規制(関税引き上げ)もあって景気減速が鮮明となり、日本経済にも影響が色濃く出て先行きが懸念されている。だが、中国でも知的(ハイテク)産業に目を向けると景色は異なり、騰勢に陰りは見られない。旧来型の経済統計は「中国苦戦」だが、次世代ハイテク産業に関しては「中国絶好調」であり、急回復をみせる中国株はそうした経済環境の変化を物語っているとも言える。

◆世界の株式で運用するMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)は中国A株の組み入れ比率引き上げを2月末に発表した。マーケットとしては4月に延期となりそうな「米中首脳会談」が当面の大きな焦点ではあるが、投資家としては中国に関連するハイテク株やETFなどに注目する価値はあるかもしれない。

◆中国の景気指標は芳しくない。2月の製造業PMI(購買担当者景気指数)は49.2%(前月比-0.3%)と3年ぶりの低水準に、1月~2月の工業生産は前年同期比5.3%増(12月は5.7%増)と10年ぶり低水準に落ち込んだ。全人代が発表した2019年の成長率目標も6.5~6.0%と18年目標の6.5%から引き下げられ、米国による通商規制の影響を隠さない。

◆そして、日本でも1月機械受注は前月比-5.4%と3ヵ月連続で減少、2月工作機械受注は前年同月比-29.3%と落ち込み、大企業製造業の景況感判断指数も-7.3%(1~3月)とマイナスに転じるなど、中国の影響を大きく受けている。

◆だが、一方で中国の通信機器最大手ファーウェイから日本の電子部品メーカー(村田製作所 <6981> 、ローム <6963> 、京セラ <6971> など)には部品の発注が増えているという。ファーウェイの発注増には米国政府の規制がかかる前に部品調達をはかる意図もあろうが、中国政府による知的産業への積極投資があることも見逃せない。

上海総合指数は年初の2440ポイント安値から3月高値3129ポイントと2カ月余りで28.2%急騰し、昨年1月高値3587ポイントからの下げ幅に対して60%を戻す。これだけ急騰すれば調整を挟むのは当然で、3月14日現在2990ポイントともたつくが、25日移動平均線が2882ポイントに上昇中で、下値の節になるのか注目される。また、MSCIが組み入れ比率を増すA株市場の動向も注目しておきたい。

◆さて、日本市場は閑散商いで、日経平均株価は2万1000円~2万1500円でもみ合いが続く。メジャーSQのあった3月8日に2万0993円まで突っ込んだが、2月8日(418円安)と同様にSQと週末という一時的な需給要因ですぐに切り返した点は心強いものの、その後の戻りは心許ない。日足チャートでは上に控える200日移動平均線(2万1980円)、下に控える75日移動平均線(2万1059円)、一目均衡表「雲」の上限(2万823円)が上下のポイントだ。どちらに抜いて行くかがカギとなる。

◆今週はお彼岸、サクラの開花も伝わってこよう。春の暖かさが株式市場に訪れるのを待ちたい。

(3月14日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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