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BBT Research Memo(7):プラットフォーム・マネジメント教育サービス事業を両輪に収益拡大目指す


■今後の見通し

2.成長戦略
ビジネス・ブレークスルー<2464>は中期的な成長戦略として、プラットフォームサービス事業とマネジメント教育サービス事業を両輪として、収益を拡大していく方針を打ち出している。各事業の取組み施策は以下のとおり。

(1)プラットフォームサービス事業
同社は今後も年1~2校のペースでバイリンガルプリスクールを山手線内やその周辺で開設し、最終的には東京23区を中心に10~15拠点まで拡大するなか、IB認定取得校として「アジアNo.1のインターナショナルスクール」を目指していく。プリスクール等の開設に当たっては、独自開設のほかM&Aの活用など全方位で検討することによって、スムーズに展開していく方針となっている。弊社では同社の構想が予定どおり進めば、拠点展開による売上高だけで2018年3月期実績の19億円から約2倍となる40億円程度まで成長する可能性があると見ている。

自社の拠点展開だけで「アジアNo.1のインターナショナルスクール」の実現を目指していく期間を成長の第1フェーズとすれば、成長の第2フェーズは蓄積してきたIB認定ノウハウやコンテンツを基に、プラットフォームサービスとして他の教育機関に提供していくフェーズとなる。前述したように国内では200校のIB認定取得が文部科学省の目標となっており、潜在需要は大きいと言える。プラットフォームサービスは、生徒向けの学習プログラムを提供するサービスと、教員向けの研修プログラムサービスとに分けられる。

生徒向け学習プログラムのうち遠隔型で提供可能なものについては、コンテンツ化して「AirCampusR」を通じて提供していくことになる。2017年4月よりサザンクロス大学(豪州)と同社及び子会社のアオバの3者の共同プロジェクトにより、ブレンド型教育(対面型教育と遠隔型教育のミックス)のコンテンツに関して共同開発を進めている。現在もA-JISの高等部でブレンド型教育を試験的に実施しており、科目別に学習指導法などの課題点を抽出し、ブラッシュアップを進めている段階にある。早ければ2020年頃にも学習プログラムのオンライン提供サービスを開始したい考えだ。

また、教員向け研修プログラムについては、IBの導入を目指す学校だけでなくアクティブ・ラーニング型学習を志向する学校に対する需要が見込まれている。アクティブ・ラーニングについては指導内容等が従来と大きく変わるため、一定程度の研修が必要となってくるためだ。同社は、グループの各校・園で取組んできた実績やノウハウを基盤として、ブレンド型教育を現場で実践できるような教育システムを確立した後に、教員向けのサービス提供を開始する考えだ。

(2)マネジメント教育サービス事業
a)個人向け教育サービス
個人向けに関しては、BBT大学で2017年4月より開始した「履修証明プログラム」など、リカレント教育※1のニーズに対応したプログラムを開発・提供していくことで売上成長を目指していく。2018年6月に政府が発表した「未来投資戦略2018」でも、大学等でのリカレント教育の整備・促進が重要施策の1つとして取り上げられている。リカレント教育の現状として、25歳以上の学士課程への入学者の割合がOECD加盟国の平均が20%に対して日本は2%と大きく遅れていることから、国の補助金制度※2なども活用してリカレント教育の普及に取り組んでいる。

※1 社会人になってからも、学校などの教育機関に戻って学習し、また社会へ出ていくということを生涯続ける教育システムを指す。
※2 2014年度より厚生労働省にて「専門実践教育訓練」給付制度が開始されており、指定プログラムの受講生に対して一部補助金が支給されている。また、2015年度より文部科学省にて「職業実践力育成プログラム」(BP)認定制度が開始され、同様に認定プログラムの受講生あるいは企業に対して一部補助金が支給されている。


「未来投資戦略2018」では、リカレント教育の受講者数を2015年の約49万人から2022年度には100万人まで拡大していくことを目標として掲げており、リカレント教育に適した遠隔教育サービスを提供する同社にとっては追い風になると考えられる。同社が提供する教育プログラムのうち、文部科学省の「職業実践力育成プログラム」の認定を受けたプログラムが8件、厚生労働省の「専門実践教育訓練指定講座」で認定を受けたプログラムが5件となっており、これらプログラムの受講者数拡大が期待される。

また、今期、入学者数が大きく減少となったBBT大学大学院に関しては、生徒数回復のため、在校生の満足度向上を図ることで、紹介入学による生徒数を増やしていく考えだ。現状、BBT大学大学院の入学生徒数の2~3割は在校生等からの紹介によるもので年々その比率も向上しており、今後の回復が期待される。

BBT大学/大学院については2019年春にどの程度生徒数が回復するか次第ではあるものの、今期並みの水準にとどまるようであれば2020年3月期も減収が続くことになる。同社では今後も経営効率化を進めることで、減収になったとしても利益ベースでは現状水準を維持していきたい考えだ。

b)法人向け教育サービス
法人向け教育サービスの2017年度の国内市場規模は前年度比2%増の5,170億円と拡大基調が続いており、このうち同社の事業領域であるeラーニング市場については700~800億円程度と全体の2割弱の水準になっていると見られる。ここ数年は通信インフラ環境が整備されてきたことや、場所と時間の制約がないeラーニングのメリットが認知されるようになり、導入企業も増加傾向となっている。

同社の売上成長率もここ1~2年で加速しているが、これは主要顧客における1社当たり売上高が増加していること、並びに顧客の裾野が拡がっていることが挙げられる。現在、顧客数としては400~500社程度だが、引き続き営業体制の強化やデジタルマーケティングの活用等によって顧客数の拡大を進めていくほか、中長期的には1社当たり売上高で10百万円超の規模となる顧客数を100~200社まで増やしていくことを目標としている。このため、今後は10,000時間超にわたる既存コンテンツを、顧客企業のニーズに最適化した形で再編集していくほか、顧客企業が持つコンテンツとも組み合わせて提供していくような大型案件の受注獲得に注力していく考えだ。特にここ最近は遠隔型と集合型を組み合わせたブレンド型の教育研修サービスのニーズが増加傾向にあり、両サービスを手掛ける同社にとっては追い風となる。課題は営業体制の強化にある。教育研修サービスについては提案力が重要となるため、営業人員の採用・育成が進めば、年率2ケタ成長を継続していくことも可能と弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《RF》

 提供:フィスコ

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