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横山利香 新年はホップ・ステップ・ジャンプ投資で勝つ! <新春特別企画 第1弾>


横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

●下げ局面での投資戦略

 2018年末に株式市場を襲った荒波は、「暗黒のクリスマス」と呼ぶにふさわしいものでした。世界的に株安が進む中、日経平均株価は12月25日のクリスマス、節目とされた2万円大台を割り込み、1010円安と急落しました。翌26日には1万9000円をも割り、一時は1万8948円まで下落しています。10月2日に27年ぶりの高値となる2万4448円をつけてから、わずか3カ月ほどで20%超も下落したのです。「掉尾の一振」という言葉がありますが、新年相場に弾みをつける年末高への期待も高まっていただけに、残念な形で記憶に残る12月になってしまいました。

 株価下落の震源は米国です。世界経済の先行きはその中心である米国の政治経済次第と言っても過言ではありません。2019年も日本の株式市場はトランプ米大統領の動向に振り回される展開が続く可能性があります。

 株式市場が下落すると「どこまで下がるんだろう」と不安に思われる投資家も多いことでしょう。「休むも相場」という格言が教えるように、無理に売買をして資産を削る必要はありません。相場サイクルを考えれば、下落相場もいずれは落ち着きを取り戻すので、待つのも手です。

 株価が暴落すれば冷静な判断ができなくなる可能性がありますので、下げ相場において投資を行うのであれば、トレンドフォロー戦略が必要不可欠となります。

 株式市場の地合いが悪い場合、どんなに好業績でも地合いに連れ安することがしばしばあります。「こんなに業績が良いのにどうして下がるんだ」と憤慨して買い下がっても損失が膨らむだけです。下降トレンドの場合には、市場が正当な評価だと判断して下げ止まるまではトレンドフォロー戦略を活用し、ひたすら短期の逆張りもしくは戻り売りを行います。

●2019年の注目テーマは「国策関連」

 次の新サイクルでは新たな柱となるテーマや銘柄が誕生する可能性が高いと言えます。投資家はマーケットがどのような状態であれ、次の新サイクルに備えて新たなテーマや銘柄探しを怠ることはできません。

 仮にマーケットが危惧するように景気が減速するのであれば、民間企業ではコスト削減が行われますが、公共的な事業であればコスト削減に向かう可能性は小さいでしょう。2019年の注目分野としては「国策」関連が挙げられます。

 たとえば、消費増税関連ではポイント還元導入の「キャッシュレス」があります。「総額100億円還元」キャンペーンで話題になったソフトバンクグループ <9984> とヤフー <4689> が出資する「PayPay(ペイペイ)」を巡る騒動は記憶に新しいところですが、キャッシュレスそのものは今後、普及に向けてその勢いを増していくと予想されます。

 ほかには、子供達の放課後支援事業などを行うウェルビー <6556> [東証M] や、高齢者向け宅配事業を手掛けるシルバーライフ <9262> [東証M] などの少子高齢化関連、グループウエアでクラウドサービスを手掛けるサイボウズ <4776> や、倉庫の在庫管理等のクラウドサービスを手掛けるロジザード <4391> [東証M] といったお仕事クラウド関連、2020年の東京オリンピック関連では自動運転などが有望テーマになるでしょう。

●出来高急増と2度の下落サイクルに着目

 投資対象の候補はテーマを絞った上で、チャートを使って探しますが、好業績でも下降トレンドを抜け出せずにいる銘柄は下げ止まらない限り選択肢から外します。上昇トレンド銘柄を中心に探すわけですが、地合いが悪いとそうした銘柄でも連れ安する場合があります。

 ただ、その銘柄が“本物”である場合は連れ安のタイミングを絶好の買いチャンスと捉えて買いを入れる投資家がいるため、大きくは下げずに出来高が膨らむ傾向がみられます。昨年の新春特集のコラムでは、出来高急増のポイントに着目する投資手法を「ピコ投資」としてご紹介しました。ピコ投資では出来高急増のポイントを株価上昇に弾みをつけるシグナルとして注目しましたが、その銘柄が“本物”であるかを見分けるためのヒントにもなります。

 とはいえ、マーケットの地合いが悪く下落が続いた場合、「買って大丈夫なの?」と投資家は疑心暗鬼に陥り、買いを躊躇するものです。出来高急増のサインだけでは心許ないことでしょう。冒頭、無理をして売買する必要はないと申し上げた通り、この段階では慌てて買う必要はありません。相場サイクルの分析を組み合わせてトレンドに確信が持ててからでも、買い出動は遅くはありません。

 私はこうした下落相場の中では、戻り売りをこなしながら2回の下落サイクルに耐えて下値を固めているチャートの波形を、上昇トレンドに転換する可能性が高いパターンとして銘柄探しに活用しています。このサイクル(2回の下落による下値固め)と先の出来高急増サインを活用したサイクル分析を、個人的に「ホップ・ステップ・ジャンプ投資」と呼んでいます。もちろん、基本はテクニカル分析とファンダメンタルズ分析をともに活用するテクノファンダ投資ですから、業績悪化の見通しが立てば、テクニカル面が有望であったとしてもそれにこだわらず素早く対処する必要があります。

 2019年が始まります。前年の流れを引き継ぐのであれば、市場はしばらく荒波に翻弄されるかもしれません。そのなかにあっても先を見据えてキラリと光る銘柄を探していきたいですね。

2018年12月27日 記


横山利香(よこやま りか)
ファイナンシャルプランナー、国際認定テクニカルアナリスト(CFTe)。投資・マネー雑誌を中心に執筆・講演活動・勉強会を開催。会社四季報ONLINEで「横山利香のスイングトレード日記」を連載。公式ホームページで、投資ブログ、無料メルマガ、おしらせを掲載。


★元日~3日に、2019年「新春特集」を一挙、“26本”配信します。ご期待ください。
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