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【植木靖男の相場展望】 ─ 師走相場は反転上昇へ


「師走相場は反転上昇へ」

●下値抵抗力をみせる東京市場

  東京市場は、10月ほぼ1ヵ月間急落、10月29日に2万1149円(終値ベース)をもって安値をつけ、反転上昇となり、2万3000円に向けて中間反騰への期待を強めたが、その途次で期待が裏切られ、再び下げ基調となっている。

 確かに、市場環境を見ると警戒材料が多発、暗く厚い雲が市場を覆っている。米中貿易摩擦、欧州でのイタリア財政問題、米欧間の政治リスク、中東での覇権争い、中国景気の減速もある。一方、米国内では市場で米国一強を支えたアップル、アマゾン株が崩れた。国内でも、米中貿易摩擦の影響が早くも企業収益に顕在化しつつある。また、最近の世界的な政治リスクの拡大は、これらを評して「第一次世界大戦後の情勢に酷似しており、いずれ第三次世界大戦が勃発するのではないか」といった不気味な予言さえ聞こえる。では、株価は年内に、もはや上昇することはないのであろうか。

 だが、冷静に11月相場を振り返ると、まず気づくのは11月以降、概ね鯨幕相場(陽線、陰線が交互に表れる)が続いていることだ。これは一本調子の下げとならず、下値抵抗力がある証左である。NYダウ平均が14日まで4日連続安をみせていただけに注目されよう。

 おそらく、これは需給によるものであろう。これまで大きく売り越してきた海外筋が11月第1週に先物、現物で3700億円も買い越したことに表れているようだ。

●買い方“最後の好機”か?

 では、今後どう展開するとみればよいのか。テクニカル的に見ると、2007年のパターンに酷似していることに注目したい。結論からいえば、11月第4週が正念場とみてよさそうだ。おそらく、下値を確認したあと12月は反転上昇すると期待している。

 ただし、条件として10月29日安値の2万1149円を下回らないこと。

 上昇の押し上げ要因は、月末のアルゼンチンで開かれる米中首脳会談か。双方、歩み寄るとみている。米中とも、すでに疲弊困憊しているとみるからだ。

 2007年の時も、下げたあと1ヵ月ほどの中間反騰をみせている。それも下げの80%も戻している。来る師走相場は、買い方にとって最後の好機となるのではないだろうか。

 では、どのような銘柄群が上昇に向かうのか。いうまでもなく戻り相場であるから、今年最後まで大きく騰げたハイテク株とみている。もちろん、アップル、アマゾン株が反発することが条件となろう。

 当面の物色銘柄はなにか。株価の下落に平行して注目銘柄が減っていくのは寂しい限りだが、レンゴー <3941> などは妙味がありそうだ。アマゾンなどのネット通販向けの段ボールが伸びている。原料の古紙の価格上昇は値上げで対処し、今3月期の営業利益は34%増予想だ。PER15倍は割安だろう。会社筋は、業績がよいのに株価が上昇しないのはなぜか、と嘆いているという。注目したい。

 もうひとつは、低金利が重くのしかかって株価が騰がらない三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> 。株価対策ともいえる、年配当2円上積みの22円を予定。加えて、年内に上限1000億円とする自社株買いを発表した。株価に対する危機感の表れとみてよいだろう。

2018年11月16日 記

株探ニュース

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