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大塚竜太氏【中間選挙後を意識、荒い値動きに光明は見えるか】(1) <相場観特集>


―週明けは急反落、対中貿易摩擦の狭間で揺れる投資家心理―

 東京株式市場は11月相場入りで流れが変わることも期待されたが、週明け5日の日経平均株価は前週末の急騰の反動で急反落となった。あすの米中間選挙の結果を見極めたいとの思惑も漂うなか、実際このビッグイベント通過後の地合いはどう変わっていくのか。今の荒い相場展開を経て、安定した上昇トレンド復活の目はあるのかどうか、そして投資家は足もとの相場とどう対処すべきか。ベテラン市場関係者2人に当面の相場見通しと物色の方向性などについて聞いた。

●「早晩2万2000円を下限とする強調展開へ」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 前週末は、トランプ米大統領による「中国との貿易合意の草案作成を指示」の報道が駆け巡り、日経平均は一気に買われたが、その後のクドロー米国家経済会議委員長などの政府高官が米中貿易摩擦の早期解決に否定的な見解を示したことで、同日のNYダウは一時300ドル強の急落、日米株式市場はちょっとした時間軸のズレの中で慌ただしい展開を余儀なくされた。米株安を引き継ぎ、きょうの日経平均反落は想定内であり、これがさらなる下値リスクを想起させるとは考えていない。

 10月の米雇用統計はコンセンサスを上回る好調だったが、特に注目されていた賃金の伸び率が加速したことは、米長期金利の上昇要因として警戒するムードも出そうだ。これで一度は見送りも想定された12月利上げはかなり濃厚となった。ただし、マーケットが最も懸念しているのは何かといえば、それは米国景気の減速であって、基本的に今のような好調な米国経済を売る展開にはならないと心得ておきたい。

 あすの米中間選挙の結果が注目されるが、どういう結果になったとしても選挙後に相場が安くなるイメージはない。予想では上院が共和党、下院を民主党が制し、ねじれが生じる公算が大きいとみられているが、これについて既にマーケットはかなりの部分織り込んでいる。可能性としては上下両院とも共和党が制するケースも残されており、その場合はポジティブサプライズで、米株市場は望外の上昇もあり得る。

 東京株式市場は米株市場次第ということもいえるが、一つ有利な点としては米長期金利の上昇を背景にドル買いの動きが顕在化しやすいことで、一段のドル高・円安に傾くようであれば輸出株中心に追い風が強まる。11月相場は、年末相場に向けた助走段階に入り、日経平均は2万2000円をボックス下限に上値2万3000円までのゾーンで推移する強調展開を想定している。物色対象としては、ここ見直し急の半導体関連の戻りに着目。今後、アドバンテスト <6857> やSUMCO <3436> などに続く銘柄が出てきそうだ。また、マザーズやジャスダックなど新興市場も売り一巡から戻りに転じるタイミング。こちらは、サイバーセキュリティーキャッシュレス関連などを中心に盛り上がりが期待される。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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