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【植木靖男の相場展望】 ─ 二番天井に向けての上昇を探る


「二番天井に向けての上昇を探る」

●トランプ大統領は利上げに“待った”か?

 日経平均株価は天国から地獄へと様相が一変した。

 10月2日の2万4270円(終値ベース)を高値にわずか8営業日で2000円も下げた。それだけ多くの投資家の意表を突く下げだったことになる。

 市場関係者は、この下げの背景を次のように指摘する。(1)米長期金利の上昇、(2)それに伴う新興国の通貨安、(3)米フェイスブックの個人情報流出、(4)米中の地政学的リスク、(5)中国上海株通貨元の凋落、(6)米中貿易摩擦による影響の顕在化、(7)英国のEU離脱交渉の難航、(8)イタリアの財政リスク、(9)需給面からは海外筋の大量売り越し、等々数え上げたらきりがないほどだ。

 だが、どれをとってもあまり新鮮味はない。同じ材料が増幅されているだけのようにみえる。とはいえ、まだ下げているところをみると、まだ完全には株価に警戒材料を織り込んではいないようだ。では、今後、株価はどう展開するのであろうか。

 上述した懸念材料のなかで最も気がかりなのは、やはり米長期金利だ。これ以上、金利が上昇すれば株価は大きな痛手を受けることが明白となった。このほか材料としては、米中の地政学的リスクがあるが、サウジアラビアとカタールやイラン、トルコ、サウジ内の反皇太子派の勢力との軍事衝突はあってもまだ先であろう。

 問題は米長期金利。方向としては上昇が続こう。中間選挙を目前にして、金利上昇をトランプ大統領は黙認するだろうか。おそらくFRB(連邦準備制度理事会)に対し、12月利上げは待ったを掛けるのではないか。金利上昇で下がった株価は、これだけで急反発するはずだ。

 仮に10月15日の2万2271円が安値であれば、反発は過去の例からみて10日間前後、つまり中間選挙日(11月6日)までだ。通常、短期二番天井は下げの60~70%戻り、よって2万3500円処と判断される。15日の安値を今後下回れば、反騰はジリ高で長引くし、水準はもっと下値になるのはいうまでもない。

●日柄をかけて主役交代へ

 いずれにしても、2013年相場を引用すれば、当時は安値から137日で上昇は終わりを迎えた。今回は131日目が10月2日だ。これ以上の高値は限界だ。一番天井を打ったとみてよいだろう。では、短期二番天井に向けての物色はどうなるのか。

 すでに高値をつけた以上、これまで株価を押し上げた主役は当然、その座から降りなくてはならない。これから、日柄をかけて主役交代が進んでいくことになろう。

 新しい主役の一つは金(ゴールド)だ。1トロイオンス=1230ドル台に浮上してきた。長い目で見れば住友金属鉱山 <5713> か。

 もっとも、当面は材料株のジャブ程度の打ち合いか。売買高の急増に魅力あるネオス <3627> 、人材派遣も手掛け出遅れ感のあるメンバーズ <2130> 、医薬品株の仕手株ペプチドリーム <4587> 、大物なら武田薬品工業 <4502> に注目したい。

2018年10月19日 記

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