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【植木靖男の相場展望】 ─ 高値後6日連続安はなにを語る


「高値後6日連続安はなにを語る」

●悪材料目白押しで高まる不安心理

 東京市場に重苦しい空気が漂っている。それもかなり深刻のようだ。なぜか。日経平均株価は単に2万3000円の壁が厚く、上抜くのに時間がかかりそうだ、ということではない。もはや年内の高値、つまり、1月のそれ(2万4129円)をもう抜けないのでは、といった絶望感が投資家の頭をよぎるからだ。

 これは、なにも日本株にとどまらない。米国株にもいえることだ。NYダウ平均に警戒感が強まっている。ナスダック指数にしても、“GAFA”(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)の活躍で辛うじて高値圏にあるが、アップルやアマゾンが高値をつければ、先行きはどうなるか分からない。

 新興国も通貨、株式とも壊滅状態にある。しかも、こうした市場の変化に警戒材料が追い打ちをかけている。

 米中貿易摩擦では、米国が近く新たに2000億ドル相当の中国製品に追加関税をかけるという。中国のみならず米国も返り血を浴びることになろう。新興国の通貨安は収まるどころか、南アフリカ、アルゼンチン、インドネシアトルコなど、なお拡がりをみせている。

 海外では、このほか中東も騒がしくなってきた。米国は約30%を拠出している国際パレスチナ難民救済事業機関への支援を打ち切るとしている。まさに、悪材料オンパレードだ。国内にしても、大阪台風災害、北海道大地震と踏んだり、蹴ったりだ。

●下げの最終局面か?

 投資家が弱気になるのも当然である。このところの値動きをみると、8月30日高値から9月7日まで6日連続安だ。通常は3~4日でいったん反発に転じるものが下げ止まらない。ここ連日、カラ売り比率が45%前後と高水準にある。つまり、大雑把にいえば投資家の半数近くが「株価よ下がって欲しい」と願っていることになる。驚きである。そういえば信用の買い残は年初来減少を続けている。

 昔、9日連続安すれば、その企業の倒産を警戒すべし、と指摘されたものだ。だとしたら、このまま安値が続けば、いずれ日本経済は破綻するのであろうか。

 だが、それはないだろう。とすれば、週明けには反転してもおかしくない。

 相場の習性として、悪材料が良化することもある。確かに安値が続けばそれもあろう。例えば、米中貿易摩擦にしても、中国が米国に輸出しづらくなれば米国の需要をだれがカバーするのか。生産規模からしたら日本しか見当たらない。つまり、いま悪材料の張本人とされる米中貿易摩擦の泥仕合が、日本株にとってプラスとなることもあろう。ただ、安値が続いている時しか、こうした考えは通用しないのも事実。

 さて、こうした悪環境の中で物色動向はどうなるのか。ここへきて超値がさ株、たとえば東京エレクトロン <8035> 、村田製作所 <6981> 、信越化学工業 <4063> などのエリート株が売られてきた。これは下げ相場の最終局面かもしれない。注目したい。

 また、困った時の五洋頼みといわれる五洋建設 <1893> 、宇宙関連の報道記事が増えてきたIHI <7013> 、複雑化する国際会計基準をビジネスにするアバント <3836> にも注目だ。

2018年9月7日 記

株探ニュース

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