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復活なるか「再生エネ関連」、世界的異常気象で再注目 <株探トップ特集>


―「RE100」など活発化、ESG投資の波拡大も追い風―

 再生可能エネルギー関連株への注目度が高まっている。世界的な「環境関連投資」の流れは拡大の一途をたどっているほか、今夏の世界的な異常気象も「地球環境対策」への危機感を高める方向に働く。そんななか、株式市場でも太陽光発電風力発電バイオマス発電など再生可能エネルギー株が脚光を浴びている。一時、太陽光発電などへの投資ブームで人気に沸いた「再エネ関連株(クリーンテック)」は復活の機を探ろうとしている。

●政府は再エネの「主力電源化」を明確化

 太陽光、風力など再生可能エネルギー関連株に見直し機運が出ている。その大きな原動力となっているのが、世界的に広がる「ESG投資 」の流れだ。

 「環境(Environments)」「社会(Society)」「ガバナンス(Governance)」の頭文字をとったESGは、地球環境や人権への対応、法令順守などを重視するもので、投資残高は世界で2500兆円規模とも言われている。日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も17年にESGに関係する株価指数を採用し、ESG投資に乗り出した。ESG投資は世界の株式市場を席捲しつつあり、それは日本の政府や企業の動きにも影響を与えている。

 政府の動きを見てみると、今年7月に閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」では、再生エネルギーの「主力電源化」に向けた取り組みが示された。具体的には、「再生可能エネルギーの2030年の比率22~24%程度」が目標として掲げられており、再エネ活用の動きが市場で注目された。

●企業に再エネ電力使用拡大の動き

 また、民間ベースの動きも活発化している。足もとでは事業で用いる電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際イニシアチブ「RE100」などの活動が関心を集めている。

 日本では、先進的な環境経営で知られるリコー <7752> のほか、積水ハウス <1928> 、アスクル <2678> 、大和ハウス <1925> などがRE100に参加している。ESG投資の観点からは、再生可能エネルギーで作られた電力の購入を進める動きは「環境レーティング」などで評価されるとみられている。

 さらに、今年の夏は日本やヨーロッパが猛暑に襲われるなど、世界的に異常気象が頻発している。このことも環境問題への関心を強め、再生可能エネルギーの導入機運を高めることは必至だろう。

●クリーンテック関連企業には明暗も再浮上探る

 日本では、2012年度に政府が一定の価格で再生エネを買い取る固定価格買い取り制度(FIT)が導入された。これを受け、太陽光など再生可能エネルギーの市場に参入する企業が急増し株式市場でも注目を浴びた。しかし、その後、経営が悪化する企業が目立つにつれ人気も低下した。ただ、そんななかESG投資が注目を集めるとともに、「クリーンテック」とも呼ばれる再エネ関連株は、選別色を濃くしながら復活の場面を探りそうだ。

 ◎レノバ <9519> ~再生可能エネルギーの発電事業と開発・運営事業を手掛ける。17年2月に東証マザーズに上場し、今年2月に同1部に市場変更。大規模太陽光発電所やバイオマス発電所を展開。FIT改正の動きは追い風との見方も。今期決算期変更も最高益基調。

 ◎イーレックス <9517> ~電力小売りを展開。ヤシ殻(PKS)を燃料とした国内最大級のバイオマス発電所を運営。18年3月期営業利益は前の期比36%増で最高益。世界最大級のバイオマス発電所を事業化との報道も。

 ◎ウエストホールディングス <1407> [JQ]~太陽光発電を軸にしたグリーンエネルギー事業やメガソーラー事業など展開。省エネ提案事業が伸びる。企業による再エネ電力の自家消費拡大を背景に、太陽光パネルの貸与サービスなども展開へ。

 ◎エンビプロ・ホールディングス <5698> ~金属やプラスチックなど資源リサイクル事業を展開。7月に「RE100」にリサイクル業界から世界で初めて参加し注目を集める。グループ企業を通じ太陽光発電事業も。

 ◎三谷商事 <8066> [東証2]~建設、エネルギー、ITなどに展開する独立系商社。市場が拡大する風力発電事業に展開。同事業の伸びなどで19年3月期の連結純利益は86億円から92億円に増額修正している。

 ◎東京センチュリー <8439> ~みずほ系リース会社。東京ガスや月島機械などと太陽光発電など再生可能エネルギー事業を展開。台湾での再生エネ事業にも出資。19年3月期連結業績は最高益更新予想。

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