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雨宮京子氏【底入れ反転! 期待と不安の狭間の先に見えるもの】(1) <相場観特集>


―崩れそうで崩れない相場、ここからの展望と物色対象は?―

 週明け9日の東京株式市場では、リスクオフ巻き戻しの流れが続き、日経平均株価はフシ目の2万2000円台を回復、一時300円を超える上昇をみせた。米中貿易摩擦問題は両国が関税引き上げを実際に発動したことを受け“貿易戦争”の様相を帯びてきた。ところがマーケットはこれを織り込んだ形で上値追いを加速させた。この環境下での株高は何を意味するのか。また、個人投資家が土俵とする東証マザーズなど新興市場の傷みが顕著となるなか、今後の小型株の見通しはどうか。先読みに定評のある市場関係者に全体相場に対する見解と個別株物色対象について話を聞いた。

●「200日移動平均線突破なら景色は変わる」

雨宮京子氏(SBI証券 投資情報部 シニア・マーケットアドバイザー)

 全体相場は米中貿易摩擦の問題を背景になかなか強気の立場をとりにくい地合いにあるが、ショートポジション(空売り)で利益を取ろうという動きも多く、それが9日の株式市場のような買い戻しによる株高に反映されることになる。

 悲観をあおるメディアは多いが、かといって相場は需給バランスから一方的に下がり続ける展開とはならない。当面の日経平均については長期波動の分水嶺である「200日移動平均線」に注目しており、同移動平均線は右肩上がりのトレンドを維持したまま2万2150円近辺に位置しているが、商いを伴ってここを完全に上に抜けてくるようであれば、上昇トレンド復帰といってよいのではないか。もしそうなった場合は、5月下旬と6月下旬に跳ね返された2万3000円ラインに再チャレンジという流れが意識されそうだ。それまではしばし様子見スタンスで臨むしかない。

 マザーズなど新興市場については東証1部よりも実態は厳しい。信用の高値期日が今月後半にくることで、揺さぶりがあれば追い証絡みの投げが誘発されやすい。それを狙った売り崩しも考えられるところで、その点は引き続き注意が必要だ。もちろん、新興市場にも買える銘柄はあり、基本的にチャートの強い株につくのがセオリー。一方、中長期スタンスならば底値圏でも内容の良い銘柄をじっくりと買い下がっておくのも一法で、最終的には大きく報われよう。

 個別に注目している銘柄では、まずエルテス <3967> [東証M]がある。企業のネット経由でのリスクに対応する時流に乗った銘柄であり、同社の強みは投稿などを監視するだけではなく、ビッグデータの解析により早期にリスクを検知し、炎上の解決までのコンサル業務ができること。また、新規事業としてイベントなどのリスク情報分析及び危機管理対応支援にも注目したい。

 このほか、バイオマスと洋上風力、海外事業を成長領域として投資を加速しているレノバ <9519> が中段もみ合いを上放れる可能性がある。また、高齢者向け配食サービス・弁当販売が伸びるシルバーライフ <9262> [東証M]は全体相場に逆行して高値圏を舞う展開で引き続きマークしたい。超大型IPOとして鳴り物入りで上場したメルカリ <4385> [東証M]は、セカンダリーで冴えない動きとなっているが、今後の海外展開に期待して、ここは買い場とみたい。チャート的にも底入れ感がある。日本ケミコン <6997> も一段の上値余地がある。カメラモジュール向けアルミ電解コンデンサーで商機が広がっており、株価面でも物色人気の村田製作所 <6981> に追随する動きが期待できる。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
SBI証券 投資情報部 シニア・マーケットアドバイザー。元カリスマ証券レディ。日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスターなどを経て現在に至る。

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