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値上がり3倍「黒鉛電極」、中国“環境重視”転換が関連株沸騰を呼ぶ <株探トップ特集>


―2018年国際価格は3倍に高騰、鮮明化する業績改善と上昇トレンドの行方―

 東海カーボン <5301> が12月14日、国内向け黒鉛電極の価格を18年4月出荷分から引き上げると発表した。日本で多く使う18~24インチ品は1トン90万円となり、価格は現在の約2倍になる。これを受けて、同社株は15日に一時、前日比204円(18.0%)高の1337円まで上昇。その後も堅調な動きとなり、きょうの高値1426円まで、14日終値比26%も上昇している。

 「黒鉛電極」は、鉄スクラップを高電流アーク放電で溶解させた鉄にリサイクルする過程で、放電時の電極として使用される部材だ。電炉 にとって最も重要な部材の一つで、鋼材1トンを製造するのに3キログラムが必要と言われている。消耗品のため、定期的に購入する必要があるが、米国の鋼材需要の回復や中国の環境規制強化に伴う電炉稼働率上昇で需要が急拡大している。

●「地条鋼」取り締まりで市況上昇

 黒鉛電極の市況上昇の要因は主に中国だ。中国では、地面に埋め込まれた簡易的な電炉を使って中周波で鋼材を作っていたが、今年に入り、環境汚染の問題からこれを全面的に禁止した。こうした方法で作られた鋼材は「地条鋼」と呼ばれ、品質が悪いというだけではなく、製造過程で汚染物質を大気中に放出する。そのため、元々違法だったが、実質、野放し状態だった。これが今年に入り厳格に取り締まられるようになった。

 この地条鋼の生産量は年間で約1億2000万トンといわれているが、例えば日本の粗鋼生産量は約1億トンであることを考えると、日本の生産量を上回る量の地条鋼が製造されていたことになる。これを取り締まることで、中国で正規品の需要が高まっているのだ。また、これに加えて、17年に入り米国などで鉄鋼需要に底打ち感が出ていたこともあり、黒鉛電極の需要が急激に拡大している。

 一方、黒鉛電極メーカーはここ数年の市況低迷で生産能力の削減を進めていた。中国メーカーも当局の環境規制の影響を受けて生産を抑えており、これが黒鉛電極の価格高騰の要因となっている。

●18年の国際価格は3倍以上で決定

 日本や米国では、黒鉛電極メーカーと電炉メーカーの取り引きは年間契約のため、17年に関しては黒鉛電極の販売価格はそれほど値上がりしなかったが、18年の国際価格は、主要な取引が1トン当たり8000~1万2000ドルで決まったと伝わっている。これは、17年価格の3倍以上となる。主原料であるニードルコークスも上昇しているものの、18年度の黒鉛電極メーカー各社にとっては大きな増益要因となろう。

 一方、黒鉛電極メーカーサイドにも16年から17年にかけて、大きな動きがあった。

 昭和電工 <4004> は17年9月、ドイツに本社を置く炭素・黒鉛製品メーカーであるSGLカーボン社から、黒鉛電極事業を手掛けるSGL GEホールディングスを買収することで、ドイツ、米国などの関係当局から承認を受けたと発表した。買収自体は16年10月に合意していたが、関係国のなかで最後に残っていた米国当局がSGL GEの米国子会社について、競合先である東海カーボンに譲渡することで承認を得た。

 これにより、昭電工は日本、米国、中国に加えて、欧州や東南アジアにも製造拠点を有し、世界シェア3割を占める黒鉛電極のリーディングサプライヤーとなる。一方の東海カーボンも世界最大の電炉鋼市場である北米におけるプレゼンスの向上が図れるほか、アジア・欧州・北米の「3極体制」を築くことになり、グローバルプレーヤーとしての事業基盤の構築が図られることになる。

●市況上昇で業績予想を上方修正

 また、前述の2社以外にも黒鉛電極を生産する企業は、市況好調の恩恵を受けている。

 日本カーボン <5302> では12月22日、17年12月期の業績予想について、営業利益を13億円から24億円(前期6億6300万円の赤字)へ上方修正した。その要因の一つに黒鉛電極の市況に変化が見られることを挙げていることから、18年12月期はさらに好影響を与えることになろう。

 また、SECカーボン <5304> [東証2]も11月2日に18年3月期業績予想を営業損益で4000万円から5億1000万円(前期23億7000万円の赤字)へ上方修正したが、同社も「黒鉛電極の市況回復に伴い収益性が改善する見通し」としており、日カーボン同様に市況のさらなる上昇による業績への貢献が期待されている。

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